何度かラインブレイする走りを見せた松島幸太朗。
6月27日、豪州・シドニーに滞在中の松島幸太朗(日本代表/サントリー)が所属するイースタンサバーブスの試合に出場した。痛めていたハムストリングの調整を続けていた同選手がシュートシールドのピッチに立つのは約1か月ぶりのこと。日本でもお馴染のジョージ・スミス、ピーター・ヒューワットらがかつて所属していたマンリーとの試合に後半20分から出場した。
NSW州のクラブラグビー選手権であるシュートシールド。相手のマンリーは今季の同リーグで首位と好調だ。さらに試合会場はマンリーのホームということで、イースタンサバーブスにとってはタフな条件が揃っていた。しかし松島は、ファーストタッチから実力を出した。
ピッチに立って間もなくしてパスを受けると、防御ラインのギャップを突いてラインブレイク。その後も加速するランニングを何度も見せた。スピードだけでなく、攻守両面でフィジカルの強さもあった。オーストラリアのトップコンペティションに臆するどころか、スーパーラグビーのスコッドにいる自信を見せるようなプレーを披露。出場直後こそ試合勘を取り戻す時間となったが、すぐに感覚を取り戻した様子だった。足のコンディションも良く、復帰戦を楽しんでいた(試合は一時イースタンサバーブスが追い上げるも終盤に突き放され、53-24でマンリーの勝ち)。
同日夜におこなわれたスーパーラグビーのセミファイナルでワラタスがハイランダーズに負け、松島の今年のスーパーラグビー挑戦は終わった。結局出場機会を手にすることはできなかったが、充実した日々を過ごし、貴重な経験を得たようだ。
ワラタスのBKはワラビーズの選手をずらりと揃えていることに加え、そのほとんどがユーティリティーBK。それゆえ、リザーブをFW6人、BK2人とする編成が多かった。さらに、そのBKのうちの1人はSHとなることから、残りの1席をワラタススコッドのBK達で争う状況に。そのスコッドの中にはピーター・ベイサムのようなワラビーズのキャップホルダーや、他にもスーパーラグビーのキャップホルダー選手が何人もいた。さらに、今年のU20豪州代表主将を務めたキャプテン、アンドリュー・ケラウェイなどもいたから、リザーブ入りだけでもかなり高いハードルだった。
そんな状況を肌で感じ、スーパーラグビーの選手たちとトレーニングの時間をともに過ごし、地元クラブの試合を経験。それらはすべて、きっと今後につながるものとなるだろう。実際の試合でのパフォーマンスを見ても、決してサイズは大きくないのに、シュートシールドのレベルでは問題なくやれていた。
ワールドカップを経て迎える来季。スーパーラグビーに参戦する日本チームにも必要な戦力だろうが、2016年もシドニーで見たい選手である。