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ウルグアイ代表の大黒柱、W杯前に謎の代表引退。クラブから重圧?

2015.06.28

URG

2013年、カストルのトップ14優勝に貢献しトロフィーを掲げるロドリゴ・カポ・オルテガ(写真右)
(Photo: Getty Images)

 12年ぶり3回目のワールドカップ出場を決めたウルグアイ代表。今年、英国で開催される大舞台ではプールAに入り、イングランド、オーストラリア、ウェールズ、フィジーに挑むが、チームのベストプレーヤーで、唯一の完全なプロ選手であるLOロドリゴ・カポ・オルテガ(34歳)が、欠場することになった。

 ワールドカップ開幕まで3か月を切った6月下旬、ウルグアイ代表主将を務めたこともあるこのベテランは突然、インターナショナルラグビーからの引退を表明したのだ。昨年10月に母国モンテビデオでおこなわれたロシア代表との最終予選プレーオフに先発出場し、12年ぶりの歓喜を味わったにもかかわらず。

 自分の国を代表してワールドカップに出場できる喜びを地元メディアに興奮気味に話していたというオルテガだが、彼の所属クラブであるカストル(フランス)のスポークスマンが先週、英国メディアのデイリー・テレグラフ紙に、「オルテガはワールドカップには出場しないだろう」と語った。「個人的理由です。カストルが原因ではない。ロドリゴはワールドカップに参加しないことを自分で決めたんです」。

 ウルグアイ代表側は失望を隠さず、「ロドリゴはワールドカップでプレーすることを心から望んでいた。彼はベストプレーヤーのひとりで、チームにとって非常に重要な選手なのに」とコメントしている。

 今年5月には、世界中の一流選手を集めてチームを編成する英国の名門クラブ「バーバリアンズ」に招集されており、彼の実力は多くが認めるところだ。

 19歳で代表入りし、2003年のワールドカップ(オーストラリア大会)はNO8として全4試合に先発出場したオルテガだが、15年間の代表キャリアで重ねたテストキャップ数は38と、意外に少ない。フランスを活動拠点とし、同国1部リーグに属するカストルでのプレーを優先してきたからだ。

 ラグビー中堅国の選手たちは、過去にもクラブとナショナルチームの間に挟まれ、苦しい決断を迫られた例がある。ヨーロッパを拠点に10年間プレーしてきたサモア代表のLOダニエル・レオも、今年5月に代表からの引退を表明した。彼はラグビー専門サイト『Planet Rugby』のインタビューで、「パシフィックアイランド(サモア、フィジー、トンガなど)の選手は、クラブではなく国代表を優先してワールドカップに参加することを選択した場合、最大で給料の40パーセントを失う可能性がある。だから、クラブと新しい契約を結ぶために、仕方なく代表引退を選ぶ人もいる。クラブ側からすれば、準備期間も含めてワールドカップのために約4か月間も不在になる選手と契約をしようとは思わないだろう」と語っている。

 大黒柱を失ったウルグアイ代表は8月に来日し、日本代表とテストマッチ2試合を戦う。

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