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モデルチェンジした中大、春季大会Bグループ優勝! 大東大との打ち合い制す

2015.06.22

 点の取り合いだった。お互いがチームカラーを出し合った。21日、埼玉・大東大グラウンド。関東大学春季大会のグループB(関東大学対抗戦Aと同リーグ戦1部で昨季4〜6位だったチーム同士の総当たり戦)の最終節で、中大が大東大を制した。ノーサイド直前に大東大のコンバージョンが外れたことで、スコアは40-39。昨季リーグ戦1部で5位だった中大は優勝に喜び(4勝1敗、勝点26)、同4位だった大東大はうなだれた(2勝3敗、勝点16で4位)。

 キックオフ直前、中大の輪からは部歌が響いた。勝てば優勝とあって、大一番の雰囲気を作った。かたや大東大は、簡潔なかけ声を発するだけでグラウンドへ散った。3年でキーマンのSH小山大輝は、1年時からコンビを組むSO川向瑛と軽くこぶしを合わせ、その時を待った。

 笛が鳴る。まずペースを掴んだように映ったのは、大東大だった。序盤こそ中大の粘り腰の守備を前になかなかゴールラインを割れなかったが、前半6分に口火を切る。3年で身長187センチ、体重100キロのWTBホセア・サウマキが、左タッチライン際を切り裂いた。続く12分にはWTBサウマキのキックパスに、新人のNO8アマト・ファカタヴァが反応。同じく左タッチライン際を駆け抜けた。これで0-12と、中大は主導権を握られた。

 大東大は、留学生を筆頭にランナーが持ち味を発揮。WTB戸室達貴は相手と十分な間合いを取れば、持ち前の加速力でタックラーをかわした。NO8ファカタヴァ、WTBサウマキにタッチライン際で球を持たせられるよう、グラウンド中央ではキッカーでもある1年生のCTBアピサイ拓海とFB中川和真もフットワークを活かした。

 そんななかSH小山は、中大の反則直後の速攻で何度も喝采を浴びる。「ディフェンスで頑張ろうと思った」とタックルしては起き上がって、またタックルした。38分、敵陣中盤右中間のスクラムの脇を、一気に駆け抜ける。トライ。ゴールも決まって19-24。

 後半終了間際のペナルティゴールと後半開始直後のWTBサウマキの約80メートルの独走トライで、大東大はさらにリードを広げる。中大は19-34と水をあけられたが、息は切れなかった。むしろ、息を吹き返した。後に、3年目のSO浜岸峻輝は述懐する。

「点の取り合いになることは予想していたけど、僕らはここまでアタックとフィットネスばかりやってきた。最後は、それが出た。負ける気はしなかったですね」

 大東大の反則をきっかけに敵陣へ入った中大は、そのままフェーズを重ねる。途中出場のSH住吉藍好がテンポよくさばき、周りのFW陣が「外から内」のコースへ駆け込んだ。厚いサポートも重ね、じわじわとゴール前へ進む。12分、LO西野嘉修がインゴールを割る。SO浜岸のゴールも決まり、26-34。続く16分、この日は何度もゲインラインを切っていたCTB白井吾土矛がさらに追い上げた。ここでもSO浜岸がコンバージョンを成功させ、33-34。

 守勢に回った大東大のSH小山は、25分、チームの「反則の繰り返し」による一時退場処分を受けた。「(自陣の)ゴール前。思いっきりバンと言ったら、レフリーに『バインドをしていない』と(相手を掴まない危険なタックルという判定)」。2分後、これまでゲインラインへの仕掛けで周囲を前に出していたSO浜岸が、自らトライラインを割る。ゴールも決める。40-34。ついに勝ち越した。

 ノーサイド直前、大東大は最後の反撃に出る。走者が力強く前に出る。38分、途中出場のNO8タラウ・ファカタヴァ(先発したNO8アマトとは双子のきょうだい)がインゴールへ。40-39。いざ、逆転のコンバージョンへ。CTBアピサイがボールを置く。

「まだ、1点差ある。相手も1年生。プレッシャーをかけよう」とは、中大のSO浜岸である。CTBアピサイは、「試合の経験が少なくて、プレッシャーがかかった」。球は、ポストの外側へそれた。ここでノーサイドとなった。

 敗れた大東大の青柳勝彦監督は、「フェーズを重ねて(タッチライン際に)余らせて取る。そういうやりたいことができなかった。(攻める前の)セットが遅かった」と振り返る。スクラムやラインアウトでのミスも悔やんでいた。一方、勝った酒井宏之ヘッドコーチは「アタックをやってきた。点の取り合いで勝てたのは嬉しい」とチーム作りに手応えを掴んだ様子だ。両チームとも秋のリーグ戦に向け、さらにストーリーを重ねてゆく。

(文:向風見也)

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