関東大学対抗戦と同リーグ戦が交流する、関東大学春季大会。上位校同士のAグループ(前年度の各団体での上位3校による総当たり戦)では、大学選手権6連覇中の帝京大(対抗戦A・昨季1位)が全勝優勝を決めた。
14日、静岡・草薙総合運動場では明大(同・昨季3位)に47-14で完勝。勝点を30に伸ばした。一方、敗れた明大は1勝3敗で勝点8。21日には岩手・盛岡南公園球技場で早大(同・昨季2位)とぶつかる。
序盤、自陣で相手の攻撃を浴びた帝京大は、接点の周りで想定外の反則を取られる。そのまま前半7分にラインアウトモールから先制を許し(0-7)、以後も明大の接点での激しい圧力に難儀し、しばし笛を吹かれた。
14-7とリードして迎えた32分も、自軍の反則で自陣ゴール前でのラインアウトを与える。最後はモールの最後尾にいた明大のHO中村駿太主将が、ゴールエリア左へ飛び込んだ。コンバージョン成功で、明大は14-14と同点に追いついた。
もっとも、最後に笑ったのは帝京大だった。ハーフタイム直前、PR深村亮太が密集脇へ飛び込むなどして21-14とリードを奪う。後半3分には、明大の得点シーンにも似た形でHO坂手淳史がインゴールを破った(ゴールも決まり28-14)。その後も密集の真横から明大の選手に飛びつかれたが、LO飯野晃司は言う。愚痴ではなく、反省。
「レフリーが(反則を)取ってくれるプレー、取ってくれないプレーがある。そういうなかでも、相手の飛び込んでくるプレーにコミットしたいと思っていた。そこの精度を、もっと上げていきたいです」
35-14とリードして迎えた後半20分、自陣ゴール前で明大のモールを崩す。「モールサック(組ませない動作)という部分が上手くいった」というLO飯野は、そのまま球を持った明大HO中村主将へタックル。「士気を上げるためにも、トライを取らせない、と」。そのまま、ボールに手をかける。「まずはしっかり止めるということを優先した。そこで相手が(自分のいた場所へ)真っ直ぐ倒れてきたので、ボールに働きかけて…」。明大のノット・リリース・ザ・ボール(地面に寝たまま球を手離さない反則)を誘った。
敗れたHO中村主将の述懐。こちらも判定への対応に苦しんだ格好か。
「(接点での激しさなど)自分たちの通用する部分が増えたというのが明大の印象。ブレイクダウン(接点)で、全員が身体を当てられるようになってきた。帝京大は取りきるところで取る集中力があった。全員が同じ矢印で、同じ方向を見ているな、と。自分たちのコントロールできないことにストレスをためず、自分たちのやってきたことにフォーカスしようと話していた。(レフリングに助けられた点があったとしたら)まだまだ、それがウチの実力だということ」
なお、この日は帝京大のFB重一生が怪我から復帰して3トライ。密集の脇、左タッチライン際などでパスをもらい、持ち前の体幹の強さを示した。後半30分には、大きく突破を図る明大のLO小林航の走路を先回りし、刺さる。そのままボールに手をかけ、やはりノット・リリース・ザ・ボールを誘発した。「今日の試合ではコーチ陣、またスタッフ陣の信頼を築けるようなプレーをしたいと思いました」と殊勝に語っていた。