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東海大のWTB石井も海を渡る? 「もっと納得できる練習をしていく」

2015.06.13

ishii

帝京大戦後に握手をする石井魁(写真中央/撮影:松本かおり)

 東海大4年のWTB石井魁は、大人しいようで海外志向が強い。

「どこへ行っても、やるのは自分。自分との戦いが待っている。ただ、もっと高いレベルでチャレンジしたいという気持ちがあって、いろいろと考えている部分がある」

 関東大学リーグ戦1部で昨季2位だったチームは、現在、関東大学春季大会(関東大学対抗戦と同リーグ戦の交流リーグ)に参加中。前年度上位陣同士のAグループではここまで2勝1敗と勝ち越している。身長178センチ、体重85キロのWTB石井も自慢の健脚を披露して4度、ゴールラインを割った。しかし、満足していない。

 大学選手権6連覇中の帝京大(対抗戦A・昨季1位)には、19-59と大敗(5月24日/東京・帝京大グラウンド)。クラブに実力を発揮しきれぬ時間帯があり、「やっている僕らからすれば、全然」というのだ。タッチライン際を単騎で駆け抜けるトライゲッターとして。FL藤田貴大主将とともに仲間を引っ張るBKリーダーとして。あえて、厳しい課題を口にする。14日、神奈川・東海大グラウンドで法大(リーグ戦1部・昨季3位)との4戦目を迎える。

「チームでやろうとしていることを試合で表現する。そこは、ぶれちゃいけない。いまは1回り、2回りも成長しなきゃいけない。疲れてきたなかで、いかにコミュニケーションを取って動けるか。その部分がまだ、足りない」

 来春からは「誘っていただいているので」と、国内最高峰のトップリーグでプレーする見込みだ。もっともそこがゴールではない。目指すは、海外でのプロ契約か。将来に関する質問を受けた際、やや、言葉を詰まらせたことがある。その心は、「レベルの高いところでもまれて、どれだけ成長できるかを試したいという思いがある」であった。

――日本ではないところですか。

「それも含めて…」

 別の場所ではこう言った。

「(将来的には海外へ)行けたらいいですね。自分で道を開けていけたら。代表とかへ呼んでもらって、周りの方と話していくなかでそう思いました。僕自身、チャレンジしてみたいという気持ちがあるんで」

 東京・保善高時代は全国レベルでの経験は皆無も、「どこまでチャレンジできるか」と当時から強豪だった東海大に入った。1年時に関東学院大とのリーグ戦デビューを果たした。この日、いきなり6トライを挙げる。相手守備の状況を味方に伝えるコミュニケーション力、スピードを得点に昇華させるポジショニングの妙…。当時から持ち味を発揮していた。かつては取材エリアで人に囲まれれば「あり得ない」と早く帰りたそうにしていたが、日本代表の練習生などを経験したいまは「まぁ、立場が人を成長させるってことで」。照れ笑いを浮かべつつ、ただただ高いステージを見据える。昔から変わらない。

「(いまは)日本一に向け、もっと納得できる練習をしていく。それだけです。もう1回(日本代表などに)呼んでもらえるためにも、もっと成長していきたい」

(文:向風見也)

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