ラグビーリパブリック

砂まみれの稽古に息のむ。NECフォワード、佐渡ケ嶽部屋に学ぶ。

2015.06.10

sumo

基礎練習で汗だくになったグリーンロケッツ若手FW。(撮影/松本かおり)

 立ち向かっては転がされる。そんなシーンが何十回も続いた。真っ白な肌が砂まみれになる。激しい息づかいと嗚咽が稽古場に響く。そんな光景を目の当たりにして息を呑んだ。

 NECグリーンロケッツの選手たちが大相撲・佐渡ケ嶽部屋で出稽古をおこなった。FWの選手たちがいくつかのグループにわかれて6月9日から3日間、朝6時30分に始動。千葉県松戸市の同部屋で汗を流した。
 昨シーズンはトップリーグでBグループの2位(セカンドステージ)となったNEC。日本選手権には進んだものの1回戦で帝京大学に敗れ、失意のままオフシーズンへと突入した。しかし、下を向いたまま無駄に時間を過ごすのは嫌だった。相澤輝雄総監督は、すぐに動いた。

 知人を介し、相撲部屋と交流の機会を持ちたいとアプローチした。そうやって縁ができたのが佐渡ケ嶽部屋だった。同じ千葉県にあり、グリーンロケッツの本拠地・我孫子から比較的近い。親方もオープンマインドだ。
「3月からお願いしていました。相談にのっていただいた際、『任せてくれ』と言っていただき有り難かった。今回は、相撲を教えてくれ、とお願いしたんです。体の使い方を学ぶのもそうですが、プロの厳しい世界を肌で感じ、そこから自分たちで何かを見つけ出してほしいと思っています」(相澤総監督)
 逃げることは許されない。真正面からぶつかり合う厳しさと激しさ。上を目指すハングリーさ。それらを五感を通じてあらためて知った選手たちの表情からは、誰もが抱いているチーム再浮上への思いが強く刺激されたように感じられた。

 四股や股割りなどの他、ぶつかり稽古にも挑んだ選手たちの中で、親方から「足の運びがいちばん上手」と高い評価を得たPR堀卓馬は言った。
「スパイクを履いているときは拇指球(ぼしきゅう/親指の付け根)あたりを意識しているのですが、きょうは裸足なので足全体を使うことを考え、工夫したら、ああいう(両足の親指を外側に向けてすり足で進む)動きになりました。稽古を通して、自分の体の使い方を知ることが大切だとわかりました。そして、上を目指すために自分を追い込むことの大切さも伝わってきました」

 下を向いて終えるシーズンは、もう嫌だ。体で覚えたこと。心に響いたこと。すべてを上向きのパワーに変えて、新シーズンの浮上につなげたい。

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