名前のとおり、気持ちの入ったプレーを見せた。
5月23日に法大グラウンドでおこなわれた関東大学春季大会、早大×法大。7トライを奪い、45-14と完勝した早大でよく働いたのが13番を背負った盛田志(もりた・こころ)だった。広島・尾道高校出身の4年生。「(足首の負傷からの)復帰戦でした。前週、チームは同志社によくない形で負けた(24-60)。そういう状況のときに自分が使われた理由を考えてプレーしました」と話し、最上級生であり、CTBのポジションリーダーを務めている人間としての責任感を示した。
パッサーに体を寄せて鋭く前に出る。外側フィニッシャーの力を活かす。この日の盛田は、チームを前に出す意識を強く持ちながらも冷静にプレーした。その結果がフル出場と、自ら挙げた3トライを呼ぶ。
「プレーと声で周囲を引っ張ることを意識しました。今年のチームでのCTBの役目はクラッシュでなく、より適格な判断をすることが求められています。攻守両面で、いかにバランスをとるか重要な役目がある」
ポッドシステムを使う今季の早大。それぞれが効率よく動けるようになった分、各局面で判断力を発揮するための導入だ。またその道の途中ではあるけれど、この日は新しい方向性がもたらしたものが多く見られた。
盛田は中学時代はバスケットボール部。尾道高校に進学してラグビーを始めた。高校時代はバックローで、大学入学後にCTBに転向。防御力を武器に、もっと安定感を増したいと言う。
父は大体大、三洋電機(現パナソニック)の大型LOとして活躍した清人さん。弟の気(ちから)は日川高校から大東大に進学し(現在2年生)、WTBで活躍する。さらに、その下の弟・生(しょう)は三重県の朝明高校に入学し(1年)、SHで奮闘中。3兄弟の長男として、学生ラストイヤーに大きな足跡を残したい。
昨季の秋の公式戦では2試合でベンチに入ったものの、立大戦に途中出場しただけにとどまった。「頂点に立ちたい」という勝負の年。背番号13の赤黒ジャージーを一年中着て過ごしたい。