ラグビーリパブリック

もう一つの関東大学ラグビーリーグ  関東医歯薬大学ラグビー

2015.05.22

 医学部のラグビー、と言われたらどんなイメージをお持ちだろうか?
「医学部の学生は勉強に忙しく、なかなか部活でスポーツをしている時間もなく、ましてラグビーなんてほど遠いのでは…」とお思いの方、決してそんなことはない。医学部には、勉強に、実習に忙しいながらも、楽しく・マジメにラグビーをしている学生たちがいる。

 そんな医学部の学生たちが加盟しているのが関東医歯薬大学ラグビーフットボール連盟。その歴史は1928年に始まった関東大学対抗戦にも引けを取らず、1936年秋、慈恵医大、日本大学医学部、日本大学歯学部、慶応大学医学部、明治薬科大学の5校によるリーグ戦がスタートしている。その後、戦時の中断を経て、1953年に4校で再開。以後徐々に加盟校を増やしながら発展してきた。近年こそ部員の減少などによる退会もあるが、医学部・歯学部・薬学部を中心に、2015年度現在30校が加盟。毎年9月から12月にかけて、4か月間のリーグ戦が行われており、今年の秋にはその63回目を控えている。また毎年5月末には「第一三共カップ メディカルセブンズ」として、セブンズの大会が行われ、こちらには全国の医歯薬大学の招待校、OBチームなど60余りのチームが参加している(今年度は埼玉・熊谷ラグビー場にて5月30日、31日の2日間で開催予定)。

 とはいえ、勉学や実習などで忙しいイメージのある医学生たち。どんな活動をしているのか、なかなかイメージが湧かない方も多いのではないだろうか。そこで今回、東海大学の医・健科ラグビー部の練習を見学させてもらい、医学部の4年生で主将を務める赤羽さんと、同じく医学部の4年で医歯薬リーグの主管長を務める藤井さんに話を聞いた。

 東海大医・健科ラグビー部は医学部と健康科学部に所属する学生で構成され、部員は20名ほど。そのため、毎年グラウンド練習が週2回、ウエイトトレーニングが週1回。体育会のラグビー部でも使っている湘南キャンパスの芝グラウンドで練習できることは、「大きな魅力の1つ」(藤井さん)。部員たちほとんどが大学に入ってから初めて楕円球に触れる。ラグビーとの接点もほとんどなかったという学生も多いが、競技の魅力はもちろん、チームの雰囲気や人の好さに惹かれて毎年何人かずつが入部し、OBたちの協力も得ながら活動を続けているという。藤井さんも大学から始めたメンバーの中の一人で、大学入学までに競技経験があるのは2割程度とのことだ。練習中にも経験者や上級生を中心に、細かな動きや狙いを教えている姿が多く見られた。また、毎年夏には菅平で合宿を行っているほか、CS放送が見られる赤羽さんの家に部員が集まって試合を見ることもあるという。

 経験者が決して多くない状況はリーグでも共通しており、リーグ全体で初心者向けの安全対策講習会を開催したり、公式戦でもU19ルールを加味したローカルルールで実施している。主管長を務める藤井さんはこうした活動の運営に携わり、他校の取り組みや活動の様子を聞くことも多いらしい。「1部に所属しているところは、熱量が違う」と謙遜していたが、限られた時間の中で、自分たちで練習を組み立てながら、真摯に取り組む姿は非常に印象的だった。

 チームの目標は秋の公式大会で結果を残し、現在所属する4部から、3部への昇格を果たすこと。昨年度は厳しい結果が続いてしまったが、今年は一味違った姿を見せるべく、奮闘中だ。
 
 医学部のラグビー。少しでも興味を持たれた方は、5月30、31日に熊谷ラグビー場で開催されるメディカルカップセブンズ、そして秋の公式戦にも足を運んでみよう。普段見ている大学ラグビーとはちょっと違った戦いが見られるはずだ。

(写真・文/野口弘一朗)

東海大学 医・健科ラグビー部の藤井さん(左)と赤羽さん
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