ラグビー日本代表は16日、それまで5日間中断していた宮崎での合宿を再開。23日には香港代表とのアジアラグビーチャンピオンシップ(ARC)の最終戦に挑む(香港)。4年に1度のワールドカップ(W杯)イングランド大会は、9月にある。2大会連続出場を狙うNO8ホラニ龍コリニアシが、緊張感を保つ。
9日、福岡・レベルファイブスタジアム。韓国代表を66-10で制したARCの第3戦の後半8分頃、持ち味を発揮した。ビッグタックルである。
韓国代表に大きく突破され、自陣22メートル線付近のラック周辺で守備網を作った際だ。右へパスが渡ったところ、NO8コリニアシは先回りしていた。クラッシュ。相手とすれば、ボールを受けた瞬間に大男に仰向けにされた格好だ。
「あそこは、あのまま行かれたらピンチだった。チームのディフェンスシステムとは別な動きだったんですけど、そこは、判断した」
緊急事態から逃れた一撃を、当の本人はこう振り返る。列を揃えて飛び出すのが「システム」通りの動きだったが、自らの危機察知の嗅覚を優先させたのだ。リスクを背負っての「判断」は、所属先のパナソニックでもしばし披露される。
冗談交じりではあったが、自尊心を示した。
「多分、僕くらいです。あれをするのは。ビッグプレーひとつで流れを変えられるように…。それはエディー(ジョーンズ ヘッドコーチ)、スティーブ(ボーズウィックFWコーチ)にもそう言われていますから」
身長188センチ、体重112キロの33歳。2008年以来、日本代表としては38キャップ(国同士の真剣勝負への出場数)を獲得してきた。しかし、W杯には苦い思い出を持つ。
自身初出場のニュージーランド大会。フランス代表との予選プール初戦(2011年9月10日/ノースハーバー/●21−47)で、右膝の靱帯を損傷した。戦線離脱。それ以降は長いリハビリ生活を余儀なくされ、復帰して久しい現在も古傷と付き合いながらプレーを続けている。
「まず、同じ失敗をしないことですかね」
フル参加できなかった失望感。チームも3敗1引き分けに終わったことへの後悔。すべてを含み込むように、いま、本番への決意を語るのである。
「W杯に向けた準備。あの時は(事前の練習を)もうちょっとやっておけば、と。それ(怪我)も自分の失敗…。完璧に近い状態で、臨みたい」