ラグビーリパブリック

5月、育つ若者たち。 尾道高校、佐賀工業高校

2015.05.06

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流経大柏との試合で奮闘する尾道(青パンツ)。文武一道もモットーとするチームには、
国立大の医学部や難関大合格を狙っている生徒もおり、集中力も武器とする。
(撮影:Hiroaki.UENO)

 「サニックス ワールドラグビーユース交流大会 2015」の大会5日目、9位〜12位を決めるトーナメントでは、日本の高校が激突。敗れはしたものの、尾道(広島)と佐賀工業の最後まであきらめない姿勢はすばらしかった。

 尾道は、今春の全国高校選抜大会で4強入りした流経大柏(千葉)に挑み、後半序盤まで互角に競ったが、結局、19-48と大差がついた。約4か月前の花園で準決勝の舞台を経験した選手がほとんどいなくなり、「若い子を入れて刺激を与えている」という梅本勝監督は、流経大柏戦の先発に2年生・1年生を半数以上起用。生命線であるシャローディフェンスはまだまだ磨かなければならないが、出足鋭い勇敢なタックルは確かに見られた。

 試合は、後半6分までは19-19だったものの、フィットネスに勝る流経大柏が強力モールやパワフルランなどで、残り時間で5連続トライを奪い、29点差で試合終了の笛はなった。それでも、その直前に尾道はゴールに迫る執念を見せており、明日へつながるラストプレーだった。

 尾道高校ラブビー部の愛称は“ブリガンズ”という。「戦う男たち」という意味だ。最後まで絶対にあきらめない。梅本監督の表情は明るかった。

「秋以降の戦いに結びつけられるように、いろいろ経験させてやろうと思っています。去年も夏からグンと伸びたので、選手の成長が楽しみです。どれだけ圧力をかけられるチームになるか。当然、セットの安定も重要だし、分厚いフォローもできるようにしたい」

 第94回全国高校ラグビー大会ベスト16で、春のセンバツにも出場した佐賀工業は5日、九州のライバルである東福岡と対戦し、20-53で敗れた。
 先制したものの、相手のインターセプトトライから流れが変わり、じりじりと差が開く。それでも、速さと強さを兼ね備えたキャプテン、FB宮上廉がハーフタイム前にゴールへ駆け抜け、14-24と食らいついた。
 結局は、計8トライを奪われて33点差がついたが、花園連覇を目指す東福岡相手に、フィジカルバトルでも真っ向勝負を挑んだ姿勢は勇ましく、古豪復活を予感させた。

 仁位岳寛監督は、気持ちを前面に出してファイトした選手たちを称えた。
「昨日まではディフェンスが悪かったのですが、この試合で修正できた点はあったと思います。もちろん、これだけ点数を取られてますから完全ではないですけど、要所要所で、しっかり前に出るディフェンスと、タッチに押し出すディフェンスはできたんじゃないかなと思っています」

 20点差の後半8分にPGを狙わせ、24点差となった同17分にもショットで3点を取りに行かせた。
「狙えるところは狙って、点数を詰めるべきところでは詰めてと、勉強させたいと思っています。県大会などではなかなか接戦を経験することがない。接戦をものにできるチームにしたいので、やはり点数の取り方にはこだわってやっていきたいと思っています」

 今年のチームは機動力もある。佐賀工もまた、今シーズンの高校ラグビー界を熱くする存在になりそうだ。

東福岡の防御網を切り裂く佐賀工のSO龍野光太朗(撮影:Hiroaki.UENO)

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