ラグビーワールドカップ2015(9月18日〜10月31日開催)へ向け準備を進める日本代表の今季第1戦、アジアラグビーチャンピオンシップ開幕ゲームの韓国代表戦が、4月18日に韓国・インチョンでおこなわれ、日本代表は56-30で勝ったものの、最後まで苦戦した。
笑顔少ない船出となった。
開始早々にPGで先制した日本だが、序盤はミスが多く、リズムに乗れなかった。3-3で迎えた前半11分、ハーフウェイ中央で反則を犯すと、相手SHに速攻からのブレイクスルーを許し、FBにつながれて、この試合最初のトライを奪われてしまった。15分にはSO立川理道からFB五郎丸歩へのパスをインターセプトされ、またも韓国代表の15番がゴールへ走り切る。南洞アジアード・ラグビー競技場のコリアンサポーターが歓声をあげた。
3-17、まさかの追う展開となる。
世界ランキング24位の韓国代表に連続して攻め込まれ、自分たちはハンドリングエラーを重ね、日本代表(世界ランク11位)にはいらだちを露わにする選手もいた。
しかし、24分にラインアウトからのモールドライブで得点すると、32分には初キャップのWTB松井千士(同志社大3年)が右サイドを約50メートル走り切り、2点差に詰める。
その後、相手にPGを決められたものの、38分にペナルティトライを得、コンバージョン成功で22-20と逆転して前半を終えた。
後半に入っても韓国の厳しいプレッシャーは続いたが、46分(後半6分)、CTBカーン・ヘスケスが力強いランで4人を振り切ってトライを決め、53分にはWTB藤田慶和、62分にはCTB田村優がファイブポインターとなり、リードを拡大。
終盤にもドライビングモールなどで3トライを追加し、結局、26点差をつけて勝った日本だが、試合を通してタックルの精度は悪く、68分にもトライを奪われ計30失点と、課題の多い今季初戦となった。
なお、この試合では先発WTB松井のほかに、ベンチ入りしていたFL村田毅(NEC)とLO宇佐美和彦(キヤノン)も途中出場し、代表初キャップを獲得している。
アジアラグビーチャンピオンシップは、日本、韓国、香港の3か国・地域代表がホーム&アウェイで戦うことになっており、日本代表は5月2日に東京・秩父宮ラグビー場で、香港代表と第2戦をおこなう。
<日本代表 ヘッドコーチ・選手のコメント>
■エディー・ジョーンズ ヘッドコーチ
「チームも選手もシャープではなかった。最初の30分間の韓国代表の方が良いプレーをしていた。今日一番残念に思ったのは、選手の姿勢。攻められている時にどうするかを見たかったが、見るものはなかった。ハーフタイムで試合に向かう姿勢の部分で負けていると伝えて、自分たちで解決するように伝えた。ただ、これはチームの成長の過程。ラグビーワールドカップへ向けての準備としてはとてもいい試合だった」
■畠山健介 キャプテン
「課題の多く残る試合だった。最初の入りのプレーは悪くなかった。後半も失点はあったが、アタックは良くなった。チームの中でもよく言っているが、日本代表はスロースタートの悪い癖がある。もう一つの悪い癖は流れが良くない、悪くなった時にパニックになってしまう。ただ、要所要所ではコントロールできたと思う」
■村田毅
「キャップ獲得を達成したというよりは、ようやく皆と同じスタートラインに立てたという感じ。キャップがないと、ワールドカップも現実味が正直なかったが、少しほっとした。ホップグッドとの出血一時交替の出場ではキャップを獲得できないと思っていたので、(自分が入替で出場するためにも)試合に出ているメンバーに早くトライをとってリードを広げてほしいと思いながら待っていた」
■宇佐美和彦
「出場時間は短かったが、試合に出してもらって感謝している。皆が入替出場のため呼ばれて行く中で、もう出場はないかとも思ったが、出たら自分ができることをやろうと思っていた。ハードワーク!と声をかけられてグラウンドに出て行ったので、それを心がけた。今度はもっと長い時間出場できるように努力していきたい」
■松井千士
「チームとしてはあまり良くない試合だったかもしれないが、初キャップで初トライをとることができて良かった。ジョーンズヘッドコーチからは3トライと言われていたが、1トライしかできず、終わった後にボールタッチの回数のことを指摘されたので、もっと自分からボールを要求すれば良かった。トライを取ったところは、立川さんが良く見てくれていて1つ飛ばしてパスをくれたので取れた。普段はあまり緊張しないが、今回はとても緊張していて、トライを取れば落ち着くと思っていたので早くトライを取りたかった。トライを取った後、後半は少し余裕ができたと思う」