ラグビーリパブリック

勤勉さと「14」のプライド 東海大仰星、選抜決勝へ!

2015.04.06

gyosei

ボールを持って駆ける東海大仰星のWTB中孝祐(撮影:高塩隆)

 春季の高校日本一を決める全国選抜大会(埼玉・熊谷ラグビー場)で、大阪・東海大仰星高(3大会連続14回目)が2季ぶりの決勝進出を決めた。6日の準決勝で大阪・常翔学園を36-7で破った。3トライを決めたWTB中孝祐は「1つの試合をひたむきにやる。(その意志を)出せた」。7日の決勝戦では一昨季の王者、大阪桐蔭高(4大会連続4回目)を迎え撃つ。

 7-7。同点で迎えたハーフタイム直前に、自陣中央の密集で相手の球を奪う。反撃のチャンスに、「ここを1本、取ったらリードして前半を折り返せる」。背番号「14」のWTB中は右大外に立ち、意を決した。「自分の目の前の選手が(力強さの求められる)FW。スピードで、勝負」。流れのなかで生まれたミスマッチ(異なるポジションの選手同士が対面となる状況)を認識し、重心の低い走りで直進する。小刻みなステップを踏み、そのままインゴールまで駆け抜けた。12-7。チームは後半も着実に加点し、ファイナリストとなった。

 就任3年目の湯浅大智監督は、14番をつけた殊勲のランナーを「本当に、いいランをするなぁ」と褒め称える。もっとも、冬の間は「ずっと、怒りっぱなし」だったという。

「冬、大阪の新人戦(1月)。ここは勝負、というところでボールを蹴った場面があった。『お前、14番をつけるということはどういうことか、わかるか』という話を懇々としまして。ここから、食事を摂る姿勢や普段の振る舞いが変わった。積極性が出た。プライドが生まれたかな、と」

 短期間での成長を成果につなげた3年のWTB中は、「自覚を持って、走り切るところは走り切る。強気に行く」と遠慮がちに語った。

 同い年の好選手が府内の他の学校に入るなか、今季のチームは「勤勉」だと指揮官。「仰星には、実はそういうものが根幹にある。これを選手が示してくれた」と続ける。WTB中は「全員で勝ちに行く。戦略どうこうではなく、気持ちで勝ちに行く。仲間を信じる」と話した。

(文:向 風見也)