高校ラグビー界の春季の日本一を決める全国選抜大会(埼玉・熊谷ラグビー場)。秋田中央高(2大会連続5回目)が関係者の注目を集めている。
4チーム中上位1チームが準々決勝に進める予選では、Eグループに参加中だ。3月31日に昨季4強の國學院栃木(3大会連続4回目)と19-19で引き分け、4月1日には前年度の冬の全国大会で4強入りした広島・尾道(3大会連続8回目)を38-12で下した。モール、立て続けのラインブレイク、ターンオーバーからの速攻と、多彩な得点パターンを披露。その要因を、古谷和義監督はこう捉えている。
「9番(SH)を起点にいろいろな仕掛けができる。FWで前に出るとBKも活きる」
新チーム結成と同時にSOからコンバートされたSH小山田陸人は、「積極的に、空いているところを狙う」と密集脇から果敢にランを仕掛ける。守備網を後退させる。後方からはストライドの大きいCTB夏井勇大、フィジカルに自信があるCTB鈴木海星が駆け込み、鈴木は今大会で2トライを奪っている。フェーズを重ねて力強いランナーを活かすべく、「サポート」の数と質を意識していると指揮官は続けた。
「必ず、(ボール保持者を含め)3人1組で接点を作る。孤立しないように」
個々の体重アップも好調を支える。かねて意欲的に取り組んできた食事指導と筋力アップに、約半年前からより注力。ウェイトトレーニングは週に3回おこない、鍛錬のエネルギー源として1日あたりの炭水化物の摂取量を高く設定している。再三、鋭いカウンターアタックを繰り出すFB船木大夢は、「昼は大きな2リットルタッパーのご飯を完食。そのほかにも、暇さえあればおにぎりを…ちょっと、きついです」。結果、6か月で5〜6キロの増量に成功している。
「だいたい、他の皆もそんな感じです。接点、1対1で(強豪クラブが揃う)九州や関西に負けない身体作りを心がけています」
見た目での印象からか。公式パンフレットでは身長180センチ以上の先発選手は1人というチームだが、試合を観た別のチームの指導者に「秋田中央、身体がでかいですね」と言わしめている。次の佐賀工(3大会連続10回目)との予選最終節に勝てば、得失点差などの関係で準々決勝への可能性を残す。