神戸製鋼コベルコスティーラーズの次世代を担う選手たちが、相次いで南半球での武者修行に旅立つ。すでに3月13日、ニュージーランドへ出発したのが、FL安井龍太(25歳)、CTB南橋直哉(25歳)、WTB中濱寛造(26歳)の3人。神戸製鋼が提携するチーフスでのトレーニング、クラブチームでの試合出場など、昨年、山中亮平、前川鐘平が経験したのと基本的に同じ生活を送るようだ。山中、前川が逞しく成長して帰ってきたように、3人にも新シーズンでの活躍が期待されている。
続いて、3月21日、南アフリカに旅立つのが、SO/CTB山中亮平(26歳)と、CTB/WTBトニシオ・バイフ(24歳)の2人。神戸製鋼の前ヘッドコーチ、ギャリー・ゴールド氏が指揮を執るシャークスに帯同してのトレーニングとなる。この2選手については、ゴールド氏が高く評価していた背景もあるようだ。帯同は3か月の予定で、例年、3月から5月にかけて行われている同国の若手有望株が揃う州代表選手権「ボーダコムカップ」への出場も視野に入っている。
山中亮平は、昨年のニュージーランドに続いての海外武者修行で、これもチームの期待の高さゆえだろう。「スーパーラグビーに出るわけではありませんが、レベルの高いところで試合ができそうで、いい経験になると思います。フィジカル面の課題は、エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチからも指摘されているので、それをどこまで上げられるか。今回は、南アフリカのラグビースタイルを楽しみたいです」
昨年はチーフスで激しいコンタクトプレーを身に着けた山中だが、さらに南アフリカのタフな試合を経験することで再び日本代表入りの可能性も高くなる。9月に開催される第8回ラグビーワールドカップまで、能力を最大限に引き上げる努力を惜しむわけにはいかない。そして、そのレベルアップは来季の神戸製鋼の戦いの中でも生きるだろう。
【筆者プロフィール】
村上晃一(むらかみ・こういち) ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度西日本学生代表として東西対抗に出場。87年 4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーラン スの編集者、記者として活動。ラグビーマガジン、ナンバー(文藝春秋)などにラグビーについて寄稿。J SPORTSのラグビー解説も98年より継続中。99年、03年、07年、11年のワールドカップでは現地よりコメンテーターを務めた。著書に、「ラグ ビー愛好日記トークライブ集」(ベースボール・マガジン社)3巻、「仲間を信じて」(岩波ジュニア新書)などがある。BS朝日「ラグビーウィークリー」にもコ メンテーターとして出演中。