(撮影:早浪章弘)
オフ期間の華試合ゆえのやりにくさなら、あった。シーズン中のような激しいコンタクトシーンは、あまり披露できない。
「怪我を押して出てくれている選手がいる分、その辺はコントロールしないといけない部分もある。お客さんには、申し訳ないと思っているんです。ラグビーの面白さを半減させてしまった、と」
ただ、役割は果たした。普段は蹴らないコンバージョンやペナルティゴールを、早大時代の先輩である日本代表のFB五郎丸歩を真似たフォームで狙う。時折、決める。身長175センチ、体重112キロのずんぐりした体型に、天然パーマが伸びたヘアスタイル。ビビッドな印象の風貌の持ち主は、その一挙手一投足でファンの喝采を浴びた。
「見た目がエンターテイメントなんで、皆もそう扱ってくれる。自分を理解したうえでがんばりたいなと、思っているところです」
8日、岐阜・長良川競技場。日本最高峰であるラグビートップリーグのオールスター戦があり、NECのPR瀧澤直は「FOR ALL ORANGE」の一員として出場。同プールBから選ばれた「FOR ALL GREEN」に48-39で勝利したなか、7得点をマークした。
丁寧な口調にユーモアを交える。
「ゴローさん(五郎丸)にはクオリティーが低いと言われたので、次回選んでもらうことがあれば、(自分を)もっとゴローさんに寄せられるようにしたいと思います」
早大に5年間、在籍。卒業後はリクルートに就職して競技を離れるも、4か月後にNEC入り。ラグビーへの思いを断ち切れなかった。
主将を務めた入部5年目の今季、チームは16チーム中10位と低迷。2月8日、東京・秩父宮ラグビー場での日本選手権1回戦では、大学選手権6連覇中の帝京大に25-31で屈した。
トンガ代表主将のFL/NO8ニリ・ラトゥやフィジー代表のWTBネマニ・ナドロの去就が流動的と、苦しい状況下。リーグ屈指の名物選手は、捲土重来を期す。
「負けは負け。次に活かすしかない。厳しい状況で、僕もどういう立場になるかはわかりませんが、新しいNECとしてがんばりたいと思います」