(撮影:Hiroaki.UENO)
タツキチがブーツを脱いだ。
3月4日、コカ・コーラレッドスパークスが福岡市内で『2014-2015シーズン納会および引退式』を開いた。壇上に日本代表キャップ17を持つプロップ、西浦達吉が立った(39歳)。13シーズンもプレーしたチームの仲間、関係者に感謝の気持ちを伝えた。
宮崎・都城泉ヶ丘高校でラグビーを始めた。福大に進学、卒業後は北九州市にある安川電機で働き、プレーを続けたが、NZへの思いを忘れられず2年で退社。王国で存分に2シーズンプレーして帰国し、縁あってコカ・コーラに入った。
2004年のウエールズ戦(カーデイフ)で初キャップ。ジャパンでのキャリアのスタートは0-98と大敗した同試合となったが、努力と実績を重ね、信頼を得た。2007年のワールドカップを経て、2008年のサモア戦までに17キャップ。その後もコカ・コーラの最前列で奮闘し続けてきた。
今年1月4日の宗像サニックス戦ではトップリーグ100試合出場を達成。チーム初の快挙だったものの、「試合に負けては…」(10-24)と納得いかぬ表情だった。年齢を踏まえて首脳陣は、「(練習は)自分のペースでやっていい」と伝えていた。しかしタツキチはそれを受け入れなかった。
「やるからには、すべて同じようにやりたい。できることならいつも先発で出たい。同じポジションの人には負けたくない。これらの気持ちは若い頃から、ずーっと持ち続けていて、変わることがなかった」
100%が信条の男だからこそ、今回の決断に至ったといっていい。
「ここ3年ぐらいは、毎年シーズンが終わるたびにチームと話し合い、現役を続けるかどうかを決めている状況でした。でもシーズンに入って、試合の中のプレーはなんとかやれましたが、練習を100%やり切るのがキツイ状態になっている自分がいました。そして、これをもう1年続けるのは無理だな、と思った。そうなったら辞めようと思っていたので」
決断は潔かった。
タツキチ以外にも8人の選手、コーチ、スタッフが退団する。
主将経験もあるリアルLO三根秀敏。俊足と強気のプレーでチームを元気にしたSH築城康拓。長く、はやいパスで周囲を使うのがうまかったSO/CTB吉原渉。勇敢かつ聡明だったエリオタ・サポル、端正なマスクと強烈突破が印象に残るジャスティン・コベニーの両CTB。左足からの正確なプレースキックが持ち味だったFB原留大祐。
その他、山下克典アシスタントコーチ(FW)、通訳、外国人選手日本語教育を担当した溝部エリコさんもチームを離れる。