日本代表として6キャップを持ち、サントリーサンゴリアス1年目で活躍して今季トップリーグのベストフィフティーンに選出された松島幸太朗が、スーパーラグビーの昨季チャンピオンチーム、ワラターズ(オーストラリア=豪州)に加入することが明らかになった。2月6日、サントリーとワラターズが正式に発表。日本選手権終了後に旅立つ予定で、8月までの期限付き移籍となる。
今月末に22歳の誕生日を迎えるシャイニングスターが、夢見ていた南半球最高峰舞台で輝く時が来た。
桐蔭学園(神奈川)で全国高校大会優勝を遂げたあと、18歳にもならぬうちに出身地である南アフリカに渡り、育成の名門として知られるシャークスのアカデミーに入って約3年間、本場のラグビーを学んだ。同国の有望株がひしめくユースチームでレギュラーポジションを獲得し、スーパーラグビーへの登竜門といわれるボーダコムカップでもプレー。南ア、ニュージーランド(NZ)、豪州のスーパークラブがぶつかるエキサイティングな世界を10代で経験することはできなかったが、ついに、日本代表最年少であこがれのステージに立つチャンスがめぐってきた。
「ワラタスという素晴らしいチームでプレーするチャンスをいただき、とても嬉しく思います。サントリーをはじめ、サポートいただいた関係者の皆様に感謝の気持ちで一杯です。今までの経験を活かしつつ、これからも様々なことを学び、ワラタスに行くことだけに満足せず、成長し続けたいと思います」(原文ママ)と、サントリーを通じてコメントを発表した松島。
才能豊かな選手であり、シャークスアカデミー在籍時は、世界一になったことがあるU20南ア代表の候補にも選出されたが、桜のジャージーを選び、2013年秋の欧州遠征で日本代表入り。翌年5月のフィリピン戦でテストマッチデビューを果たし、今秋のワールドカップでも活躍が期待されるラインブレイカーだ。
軽快なフットワークとしなやかな走りで突破力があり、CTB、WTB、FBでプレーできるのもマイケル・チェイカ ヘッドコーチ(豪州代表ヘッドコーチ兼任)へのアピールポイントとなる。
スーパーラグビー連覇を狙うワラターズには、昨年の豪州最優秀選手に選ばれたFBイズラエル・フォラウや、グラウンド外では問題行動が多いものの天才的フットボーラーと評される万能BKのカートリー・ビール、代表104キャップ保持者のCTB/WTBアダム・アシュリー=クーパー、18歳でスーパーラグビーデビューした生え抜きスターのCTB/WTBロブ・ホーン、NZ出身で豪州代表入りしたWTB/FBピーター・べサムなど、バックスには豪華メンバーが揃っており、ポジション争いは厳しいが、このビッグチャレンジで得るものは大きいはずだ。
現時点で、今年のスーパーラグビーに参戦することが正式に決まっている日本代表選手は6人。パナソニックのHO堀江翔太が首を手術するためレベルズ(豪州)での3年目を断念したものの、開拓者であるSH田中史朗(パナソニック/NZ・ハイランダーズ)、代表主将のFL/NO8リーチ マイケル(東芝/NZ・チーフス)、FL/NO8ツイ ヘンドリック(サントリー/豪州・レッズ)、WTB山田章仁(パナソニック/豪州・フォース)、PR稲垣啓太(パナソニック/レベルズ)、そして松島が、世界クラスの猛者たちと競う。
昨年はCTBマレ・サウ(ヤマハ発動機)がレベルズでデビューし、SO/CTB立川理道(クボタ)も豪州・ブランビーズでチャレンジしており、ジャパンの選手は間違いなく、タフになっている。今年9月に開幕するワールドカップで史上初の8強入りを目指す男たちは、スーパーラグビーでもまれ、よりたくましくなって帰ってくることだろう。