24歳の日本代表プロップが世界へ旅立つ。稲垣啓太も、南半球最高峰リーグのスーパーラグビーに挑戦することが明らかになった。2月5日、所属チームのパナソニック ワイルドナイツが正式発表。加入するのは、オーストラリアのメルボルン・レベルズだ。
首の手術を決断したHO堀江翔太を欠くことになったレベルズだが、スクラムだけでなく強烈なタックルや機動力も持ち味の、新たな野武士を獲得した。新潟工業高校、関東学院大学を経てパナソニックに入った稲垣は、ルーキーイヤーからレギュラーポジションをつかみ、2013-2014シーズンのトップリーグ新人賞に輝く。今季も活躍してチームの連覇に貢献し、2季連続でベストフィフティーンに選出されたエネルギッシュな若きプロップだ。昨年春に日本代表入りし、11月1日のマオリ・オールブラックス戦でデビュー、同月15日のルーマニア代表戦で初テストキャップを獲得した。稲垣は秋のワールドカップを大きな目標としており、猛者揃いのスーパーラグビーでさらなる成長を目指す。
「スーパーラグビーに挑戦できること、メルボルン・レベルズに入団できることをとても嬉しく思います。厳しい環境に身を置くことで、自分を高めたいと思っています。成長した姿を皆さんにお見せできるように、頑張ります」とコメントを発表した稲垣。
パナソニックのロビー・ディーンズ監督は、「稲垣がスーパーラグビーレベルズのスコッドとして選出されたことを大変嬉しく思っています。レベルズで活躍の堀江翔太のあとを追いかけ、今回同チームに行くことになった稲垣のスーパーラグビーでの成功は疑うべくもありません。彼は、これまで与えられてきたすべてのチャンスを掴んできたように、常に正しい姿勢と精神力によって、この機会を最大限生かしてくれることでしょう」とエールを送った。
今年は、パナソニックのチームメイトであるWTB山田章仁もウェスタン・フォース(オーストラリア)に加入して南半球最高峰舞台に初挑戦。同じ日本代表のバックロー2人、リーチ マイケル(東芝)とツイ ヘンドリック(サントリー)も、それぞれチーフス(ニュージーランド)、レッズ(オーストラリア)の一員となってスーパーラグビーに参戦する。山田と稲垣は競争を勝ち抜いてデビューすることができれば、SH田中史朗(NZ・ハイランダーズ)、HO堀江(レベルズ)に続いて、パナソニックから4人の日本人スーパーラグビープレーヤーが誕生することになる。
ニュージーランド、南アフリカ、オーストラリアの15チームによって争われるスーパーラグビーにおいて、レベルズは最も新しいチーム。2010年にメルボルンに誕生し、翌年から参戦しているが、これまでプレーオフ進出は一度もない。昨年は、堀江だけでなく、日本代表CTBのマレ・サウ(ヤマハ発動機)も途中加入して奮闘したが、レベルズは4勝12敗で最下位に終わった。
今年は、近鉄のLO/FL/NO8ラディキ・サモも新加入。フロントローには、昨年オーストラリア代表デビューを果たした右PRのローリー・ウィークスがおり、左PRの稲垣は、チーフス時代に優勝を経験しているトビー・スミス(26歳)や、U20オーストラリア代表の経歴を持つクルーズ・アーナウ(24歳)などとポジションを争うことになりそうだ。