パナソニックのPR稲垣啓太にタックルされるヤマハのSH矢富勇毅(撮影:松本かおり)
<トップリーグ 2014-2015 プレーオフトーナメント決勝>
パナソニック 30-12 ヤマハ発動機
(2015年2月1日/東京・秩父宮ラグビー場)
現体制下初の決勝。ヤマハは、序盤に2度、SO大田尾竜彦が右外の空間へ球を蹴る。
2連覇を狙うパナソニックのWTB山田章仁、背後を突かれたか。否。
「僕が上がれば、裏に蹴ってくれる」
極端な位置取りで相手のキックを誘い、想定通りの背走で弾道を追ったのだ。2度目に至っては、仲間の援護からナイフの走りを放った。この人は結局、前半28分のトライなどで自身3度目のプレーオフMVPに輝くこととなる。
パナソニックは団結力でも魅せた。
後半7分頃と25分頃。自陣深い位置での相手の連続攻撃を前に、タックルした後の素早い起き上がり、球への絡み、幅のある守備網作りを繰り返す。「肉体は激しく、頭は冷静に」とSH田中史朗副将。焦らない。
一方、ヤマハは、どちらの場面でも接点で反則を犯す。好機を逃した。SO大田尾はこう悔やむしかない。
「コンタクトで勝った先に、ジャッカル(球に絡む相手)がいた」
ヤマハの長所たるスクラムも、PR稲垣啓太いわく「アレンジを加えた」ことでほぼ互角としたパナソニック。リーグ戦最終節で黒星を喫した相手に、どこか余裕を示していた。
(文:向 風見也)