指揮官の表情は明るかった。千葉県・成田。セブンズ・ワールドシリーズ・NZ大会(2月6日〜)を控えておこなわれている男子セブンズシニアアカデミーだ(1月27日〜)。2014-2015年の国内シーズンが残っているチームも限られてきた。同アカデミーに参加している選手たちも、これまでより多くなった。
昨春、香港でコアチーム昇格戦を勝ち抜いてセブンズ・ワールドシリーズに参加している男子セブンズ日本代表(2014年10月〜)。韓国・仁川で開催されたアジア競技大会もあった(2015年9月〜10月)。活動の舞台を継続的に得られるようになって、15人制シーズンを終えた直後の選手たちでもセブンズ仕様に戻るまでに、そう多くの時間が必要なくなった。瀬川智広ヘッドコーチの頬が緩むのは、そういう理由からだ。
「(いつもこの頃の合宿では)セブンズとは…という話を何度もしなければならず、ベースの部分(を固めること)に時間がかかっていたんです(笑)。でも今回は、みんな理解度がはやい。対戦相手別に、ここにはこういう戦い方で、というような準備も進められています」
「15→7」の切り替えをスムーズに進める選手たち。その中でも、羽野一志の充実について瀬川ヘッドコーチは目を細める。
「彼の存在は大きいですね。経験値、ラインブレイクできる能力。そして、コアメンバーとしての強い気持ちがある」
所属するNTTコムでも、ラストゲームまで大きな戦力として活躍した羽野。チームは日本選手権への出場権をかけたワイルドカード初戦で敗退した。2月6日、7日に開催されるセブンズ・ワールドシリーズ、NZ大会(ウェリントン)、翌週のアメリカ大会(ラスベガス)と続くシリーズへの参戦も可能になったことは、コアチーム残留を目指す男子セブンズ日本代表にとってはとても大きい。
大学1年時に初めてセブンズ代表に招集された羽野。その後、メンバーから漏れることもあれば、怪我や諸事情で代表から離れる時期もあったが、NTTコム入社後の昨秋以来、アジア競技大会、ワールドシリーズの過去3戦とフルに参戦している。
特に、コアチーム昇格後の初勝利試合となった南アフリカ大会でのサモア戦(17-14)で逆転&決勝となるトライを奪ったのはこの人だった。ゴール前でサモアディフェンダーをはね飛ばす、腰の強い当たりを披露。「疲れていてステップを切る余裕がなかった」と苦笑いも、貴重な勝利を呼び込んだプレーだった。
男子セブンズ日本代表は、ワールドシリーズの今季3戦を終えたところで3ポイントを獲得。コアチーム15チーム中最下位という厳しい位置にいる。この先のNZ大会、アメリカ大会、香港大会(3月末)、日本大会(TOKYO SEVENS/東京・秩父宮/4月4日、5日)、スコットランド大会(グラスゴー)、イングランド大会(ロンドン)でポイントを重ね、なんとか来季も同シリーズに参加する権利を手にしたいところ(最下位になると降格)。瀬川ヘッドコーチは「もちろんプール戦で良い成績を残しカップ戦(最上位トーナメント)に進むのがイチバンですが、大会2日目の初戦にも焦点を絞っていきたい」と話す。
初日にカップ戦進出が決まれば最低でも10ポイントを獲得できるトーナメントルール。もし初日にプール2位以上が叶わずとも、2日目の初戦、ボウルトーナメント1回戦で勝てたなら、5ポイント獲得が約束されることから、同ヘッドコーチ、メンバーたちは、全戦全力の中でも、特にターゲットを絞り込んで世界に挑むつもりだ。
同アカデミーは、2月1日まで続けられる。