元オールブラックスのWTBホゼア・ギア(撮影:YOSHIAKI YUASA)
Honda HEATがトップチャレンジ1を3戦全勝で戦い終え、4季ぶりのトップリーグ復帰を決めた。25日に福岡・レベルファイブスタジアムでおこなわれた最終節、九州電力キューデンヴォルテクスの激しいプレッシャーに苦しんだが、17-15で逆転勝ちし、笑顔で自動昇格を喜んだ。
釜石シーウェイブスを圧倒し、三菱重工相模原ダイナボアーズからも勝点5を奪い、得失点でもライバルに80点差をつける有利な状況のなか、Hondaの天野豪紀キャプテンは「敵は自分たちの気持ちだ」と、チームを引き締め最終戦に臨んだ。
一方の九州電力は、平田輝志監督いわく「私たちがしっかりラグビーをしている姿を、日本人だけでもトップリーグを本気で目指している覚悟を、会場にお越しのみなさんに見ていただくという強い意志を持って」チャレンジした。
よりアグレッシブだったのは九電だったかもしれない。優れた外国出身選手を複数抱えるHondaに対し、ボールを速く動かし、組織的なアタックを繰り返した。ディフェンスも勇敢で、前に出て、低く鋭く突き刺さり、激しくボールに働きかけた。
しかし、何度もゴールに迫りながら、相手の粘りもあって、大事な場面で反則を犯してしまう。
そして、均衡が破れたのは前半30分だった。九電がこぼしたボールをHondaのWTBホゼア・ギアが拾い、約55メートルを独走して先取点を奪った。
7点を追う九州電力は48分(後半8分)、スピーディーなワイド展開で攻め上がり、22メートルライン付近からFB加藤誠央が中央を突破してトライ。60分にも素早く左へつなぎ、FB加藤がインゴールに飛び込んで九電が勝ち越した。
しかし、勝って自動昇格を決めたいHondaが終盤に意地を見せる。66分、ゴール前左のラインアウトからモールで前進し、最後はNO8トマシ・ソンゲタが飛び込み同点。その後、九電にPGを決められたものの、74分、またもラインアウトからモールで一気に押し込み、これが決勝点となった。
勝った藤本知明ヘッドコーチは、安堵の表情で選手たちを称えた。
「予想通り厳しい試合になったが、最後に2点差でも勝ちきれたところが、この一年間の成長だと思う。どうしても、関西のリーグ(トップウェストA)だとプレッシャーがない状態が続くが、選手たちは切磋琢磨し、部内の競争が非常に高まったことが成長につながった。トップチャレンジの苦しい戦いをチーム47人で乗り越えられた。今シーズンの総決算として、この試合の勝利は非常に喜ばしい」
Honda HEATはこれまで2回(2009年度、2011年度)トップリーグを経験し、2回とも1シーズンで降格している。来季、再び日本最高峰リーグに挑むことについて聞かれた天野キャプテンは、「明確な目標を持ち、トップリーグでも戦える自信をつけて、Hondaの3度目の正直をしっかり果たしたい」と力強く語った。
一方、敗れた九州電力だが、平田監督の表情は明るかった。課題は見えたものの、やろうとしたことを選手たちが存分に発揮したからだ。
2月14日の入替戦では、同じ福岡のチームであるコカ・コーラレッドスパークスと対戦する。
「コーラさんとレベルファイブスタジアムでまたやれる。感慨深いものがある。自分たちがチャレンジャーであることは間違いない。しっかり戦える準備をして、私たちの覚悟を見せたいと思う」
平田一真キャプテンもビッグチャレンジへ闘志を燃やす。
「下を向いてばかりいられない。一年間やってきた組織ディフェンスが、今日の試合でも通用したのは大きな収穫。ロータックル、速いテンポが九州電力の生命線だと思う。しっかり準備して、入替戦に臨む」
Honda HEATの藤本知明ヘッドコーチ(写真左)と天野豪紀キャプテン