東芝LO大野均にプレッシャーをかけられながらも球をつなぐパナソニックのSH田中史朗
(撮影:松本かおり)
(撮影:松本かおり)
<トップリーグ プレーオフトーナメント準決勝>
東芝 15-50 パナソニック
(2015年1月25日/東京・秩父宮ラグビー場)
連覇を狙うパナソニックは乗らなかった。掴み合ってでも密集からの球出しを遅らせたい東芝の誘いに。
ボール保持者が援護を受けやすいようコンタクトする。声を掛け合い空間へ球を運ぶ…。リーグ戦で2度負けていた相手を倒すにあたり、クラブの生き様を再確認していた。
その発想は、前半1分の先制点までの過程に活かされる。
「(皆が)周りが見えていて、いいコミュニケーションが取れていた」とは、PR稲垣啓太だ。この折、「後ろからの声」に応じ、パスを送っている。それを受けたLOダニエル・ヒーナンが縦に突っ込むと、最後は右タッチライン際のFL西原忠佑がトライを決めたのである。
基礎の徹底と連携という生き様は、前半15分の守りにも現れた。
自陣22メートル線付近で耐える。言葉、目、身体を使って横幅の広い守備網を保つ。CTB霜村誠一が相手との間合いを一気に詰め、反則を誘う。1分後、WTB山田章仁の走りなどが追加点と化した。17-3。
以後の展開は序盤の流れそのままだった。「全ては立ち上がり。判断で上回った相手に後手を踏んだ」。敗れた冨岡鉄平ヘッドコーチは潔い。
(文:向 風見也)