日本最高峰ラグビートップリーグ(TL)の東芝は25日、上位4強によるプレーオフトーナメント(PO)の準決勝で前年度王者のパナソニックとぶつかる。冨岡鉄平ヘッドコーチ(HC)は「責任感のある選手が、責任感のある行動を。それが東芝らしさ」と意気込んでいる。
今度が9季連続9回目と、現体制下ではすべてのPOに出場してきた。就任1年目の冨岡HCは、2002〜06年度の主将時代に通算7つのタイトルを獲得してきた。「何が東芝にとって最高の状態かというのを彼ら(選手)に理解させる」と決意を込める。
スクラムを長所とする。PR三上正貴、HO湯原祐希、PR浅原拓真の日本代表経験者によるフロントロー陣の信頼関係は抜群で、「例えば『イン』(内側に向かって組め)と言うだけで、バズ(PR浅原の相性)はちゃんと相手の対面を外側に押し出してから『イン』に組む」とHO湯原。指揮官も「監督が誰になっても、東芝は(スクラムなどの)セットプレーにこだわらなければ」と言い続けてきた。
外国人選手の起用法にも注目が集まる。特にBK陣では、南アフリカ代表53キャップ(国同士の真剣勝負への出場数)でロングキックを誇るCTBフランソワ・ステイン、ニュージーランド代表17キャップで突破力と危機管理力に長けたCTBリチャード・カフイと、実力者が揃う。25日はステインが先発し、カフィが途中出場をうかがう。
リーグ戦は3位という結果に終わった。前半節はエリアを問わずシェイプ(陣形)による攻撃を重ね、後半節は陣地獲得を優先した戦略を打ち立てた。マイナーチェンジのタイミングは、開幕直前に合流したCTBカフイが周りとなじんだ時期にも合致する。「情熱家」とのみ見られがちな指揮官は、中居智昭FWコーチによれば「交通整理が上手」という側面も併せ持つ。年間計画を振り返り、こう言い切った。
「ここへくるためにいろんなチャレンジをしてきた。これからの2試合(プレーオフ)のためのラウンドロビン(リーグ戦)があった。選手たちはよく理解して、戦ってくれました」
今季、そのリーグ戦で2位のパナソニックには2連勝も、「関係ない。その時のメンタルの状態やチーム状況など、お互いの条件が違うから。次が、イーブンの状態でやる初めての試合」。HO堀江翔太主将とSOベリック・バーンズに要注意とし、「トランジション(攻守の切り替え)は日本一のチーム。それが出るようだと勝てない」と警戒心もあらわにした。