激しいタックルからチャンスを生み出した帝京大(撮影:高塩隆)
<第51回全国大学選手権大会 ファイナルステージ 決勝>
帝京大(関東大学対抗戦1位) 50-7 筑波大(関東大学対抗戦5位)
(2015年1月10日/東京・味の素スタジアム)
これが現代学生ラグビー界の現実だ。帝京大が決勝戦最多得点記録を更新し、6連覇を果たした。
対する筑波大が焦点を当てていたはずの接点の攻防を、逆に制圧した。特にタックルが契機のターンオーバー(攻守逆転)が光った。
「帝京さんの1人に、こっちは2人を割かないといけなかったり。そこで(徐々に)集散が遅くなって…」
敗れたFL水上彰太が嘆くかたわら、王座につく岩出雅之監督はこうだ。
「守備が攻撃のスタート。相手の心のエネルギーも奪っていく。そしてこちらがチャンスをもらうように」
前半13分頃。実はそれまで落球を重ねていた勝者は、1本のタックルで引き締まったか。
自陣22メートル線付近で、LO金嶺志が相手の足を担ぐ。押し返す。
マイボールを得た帝京大は首尾よく陣地を取り、21分、2本目のトライなどでスコアを14-0と広げた。結果的に、これが決勝点となる。
今季から主力となったLO金は、「自分が狙っていた場所に相手が来てくれた。試合に出られない仲間の分まで身体を張ろう、と」。競技に求められる激しさに加え、好感度まで兼備。帝京大は隙のない帝国である。
(文:向 風見也)