御所実ディフェンスを破ろうとする東福岡のCTB永富晨太郎(撮影:早浪章弘)
<第94回全国高校ラグビー大会 決勝戦>
御所実 5-57 東福岡
(2015年1月7日/大阪・近鉄花園ラグビー場)
身も蓋もない。最上級生の選手層から下馬評有利だった東福岡が、決勝戦での史上最多得点と最多得点差記録を更新して優勝した。
ボール保持者が縦に進んだ頃には、接点への援護、幅の広い攻撃陣形を用意。ポジションごとの必須技能に長けた15人が同じ見取り図のもと動くから、自在に球を回せた。
なぜ、理想通りに戦えたのか。
立ち位置、コース取り、ロングパスで魅せたCTB永富晨太郎は、「(1対1の)コンタクトで前に出られたから」。あまりに簡潔で普遍的。
万能集団を狂わす術に、走者を倒し切るタックルと直後の接点への圧力が挙げられる。むしろそこが得意なはずの御所実だが…。
向こう側との相対関係を前に、敗れた竹田寛行監督は言葉を絞る。
「もっと前に出られると計算していたんですが…身体が動かなかった」
結果、藤田雄一郎監督の呟く調子を引き出すのだった。
「接点に人をかけられなかった分、テンポは出ました」
なお、大会中5戦で10トライの御所実WTB竹山晃暉副将は、敗れても笑顔を貫いた。要は、なりたい己に徹しようとした。花形の才あり。
(文:向 風見也)