大阪・近鉄花園ラグビー場で開催されてきた第94回全国高等学校ラグビーフットボール大会は、1月7日に決勝戦を迎え、福岡県代表の東福岡高校が奈良県代表の御所実業高校に57-5で勝ち、3年ぶり5回目の優勝を遂げた。2014年度シーズン、東福岡は春の全国選抜大会を制し、新設された夏の全国7人制大会でも優勝しており、高校ラグビー史上初の3冠を達成した。
スピードがあり判断力に優れ、運動量豊富な東福岡の選手たちは、ラックからの速い展開などで御所実のディフェンスを次々と破り、トライを量産した。勇敢なフォワードがセットピース、接点で激しくファイトし、ランとパススキルが高いハーフ団は巧みにプレーメイキング、速くて強いバックスが60分間躍動した。キャプテンのFL古川聖人を中心に規律もよく、落ち着きがあり、序盤から主導権を握った。
前半7分、フェイズを重ねてゴールに迫り、中央のラックから右へ展開してCTB萩原蓮がトライラインを越えた。リスタート後、自陣深くからボールを回し、CTB永富晨太郎などの力走とサポートで敵陣に入ると、10メートルライン付近からFB高野恭二が抜け出してそのままゴールに持ち込んだ。
直後、御所実はキックオフに失敗し、グラウンド中央のスクラムで再開。東福岡は右へ、SH古賀駿汰とFB高野恭が相手を引きつけながらWTB高野蓮につなぎ、モスグリーンの14番が次々とディフェンダーを振り切ってチーム3トライ目を獲得した。
16分には相手ボールラインアウトを奪ってから連続攻撃となり、LOウォーカー アレックスが追加点。20分にはラインアウトからのアタックでWTB高野蓮が抜け出しトライを挙げる。そして26分には、WTB岩佐賢人が左タッチライン沿いをビッグゲインしてオフロードでつなぎ、サポートもよく、最後はCTB萩原がフィニッシュして6連続トライとなった。
40-0でハーフタイム。
後半の序盤は御所実が敵陣深くで攻め続けたが、東福岡は守りもしぶとく、ボールを奪い返したら自陣からでも回してトライを追加した。
それでも、2大会ぶり3回目の決勝進出で意地を見せたい御所実は、後半24分、ゴール前ラインアウトからモールで押し込み、キャプテンのSH吉川浩貴が執念で5点を獲得。
だが、最後にトライを奪ったのは東福岡の途中出場CTB山懸翔で、キッカーとしてもいい働きをした萩原のコンバージョンも決まり、東福岡が全国高校大会決勝での最多得点、最大点差という圧倒的強さで頂点に立った。
藤田雄一郎監督は監督就任3年目で初の全国高校大会制覇。「1年生のときからお世話になっている藤田先生を花園で胴上げしたい」と語っていた古川キャプテンら、選手たちの願いは叶った。
一方、竹田寛行監督率いる御所実業は、悲願の日本一にはあと一歩届かなかったが、3回戦では慶應義塾をロスタイムに再逆転して下すなど、決してあきらめなかったチーム一丸の戦いぶりは見る者に感動を与えた。
花園での高校生たちの熱闘は終わった。若人たちの青春は、これからも続く。