雨の中の我慢比べに勝った。勝者は攻め抜く意識を持ち続けて頂点に立った。第65回全国地区対抗大学大会の決勝が1月6日に瑞穂公園ラグビー場(名古屋)でおこなわれ、名城大学が21-12で東京学芸大を破った。
全国大学選手権に出場できなかった地方校や、最初から選手権への出場資格を持たないチーム(関東大学対抗戦や関東大学リーグ戦に所属していない関東地区の大学など)によっておこなわれる、もうひとつの大学ラグビー日本一決定戦。名城大は6年ぶり9回目の優勝に輝いた。
0-0で終わった前半。ともによく攻め、守った。得点こそなかったが、攻守で前に出続けたのは東京学芸大の方だったか。パワーで上回る相手にもひるむことなくタックルし続けた。キックで敵陣に入り、しつこい攻めもみせた。
後半、名城大が均衡を破った。12分に大橋優勝、21分に鈴木隆真と両WTBがトライを奪う。ともに自陣深くでのディフェンスからターンオーバー。全員が反応し、つなき、いっきに攻め切ったものだった。
「今年やってきたことが、最後の最後に実った感じです。描くイメージとプレーが一致しました。今シーズンいちばんのディフェンスも見せてくれました」
中村司監督がそう選手を称えると、NO8谷口孔亮主将も笑った。
「相手のミスをチャンスにする練習は、ずーっとやり続けてきたことですから」
後半28分に東京学芸大にトライを返されても、慌てることなく攻め続け、32分にもトライを追加して勝負を決めた。
東京学芸大も最後まで挑み続けた。試合終了間際にはFL小松恒がトライを奪い、決して下を向くことはなかった。
一昨年準優勝、昨年優勝と好成績を残し、チーム内の意識が高まった。連覇は成らなかったけれど、充実はまだ続くだろう。笠松具晃監督は選手たちの試合後の姿を見て、この日の思いが来年につながることを確信した。
「2年前の大会、決勝で負けたあとに泣いている者はいなかったんです。満足していた。でもきょうは、みんなわんわん泣いていましたよ」
日常を精一杯過ごしてきたからあふれた涙。頬が乾いたら、きっとまたみんなで走り出す。これまで以上の決意を持って。勝てなかったけれど、そんなチームになったことを感じさせる80分だった。