2014年度の高校ラグビー日本一をかけた頂上決戦に進むのは、奈良県立御所実業高校と福岡県の私立東福岡高校だ。大阪・近鉄花園ラグビー場で1月5日、第94回全国高校ラグビー大会の準決勝がおこなわれ、第1試合では御所実が京都成章(京都)に40-14で快勝し、第2試合では東福岡が尾道(広島)を40-12で下した。
準決勝第1試合。御所実は大型SOの矢澤蒼が準々決勝の國學院久我山戦で脳震とうを起こしてプレー不可となってしまったが、代わりに10番をつけた1年生の北村将大を含めてチームが一丸となり、序盤から主導権を握った。前半5分にNO8湯川純平が敵陣22メートルライン外から中央を突破してゴールに迫り、すばやく左へ展開してHO小泉友一郎が先制。16分にはモールを組んで大きく前進し、主将のSH吉川浩貴が持ち出して追加点を挙げた。
一方の京都成章は、キャプテンのNO8呉季依典が前半早々に負傷して交代を余儀なくされた。残りのメンバーが奮起して果敢に攻めるシーンもあったが、相手の堅守に阻まれ、前半は得点することができなかった。
14-0で折り返した黒衣の奈良県代表は、後半2分、ラインアウトからモールで押し込みリードを広げる。
京都成章は15分に途中出場のSO奥谷友規がインゴールに突っ込み点差を縮めたが、その後、御所実が3トライ。22分に17フェイズをCTB今里慧が締め、24分にはFWがラックでターンオーバーしてからFB井上拓がフィニッシュ、27分にはWTB竹山晃暉が50メートル以上を走り切って今大会自身10トライ目を挙げ、40-14で、2大会ぶり3回目の決勝進出を決めた。
敗れた京都成章だが、最後にチーム一体となって奪ったトライ(スコアはWTB濱田将暉)は見事だった。
準決勝第2試合。春の全国選抜大会、夏の全国7人制大会に続きシーズン3冠を狙う東福岡は、広島県勢として69大会ぶり、チーム史上初の4強入りとなった尾道に前半25分までリードされた。CTB永富晨太郎のトライで先制したものの、前半7分、尾道が敵陣深くでのラインアウトからNO8松島史弥がパワフルに突進してインゴールにボールを押さえた。コンバージョン成功で同点。押せ押せムードの尾道は約3分後、またもゴール前ラインアウトから、今度はモールで押し込み、PR阪本陸のトライで逆転した。
しばらく、尾道の前へ出るディフェンスに苦しんだ東福岡。だが26分、SO松尾将太郎とCTB永富の力走で活気づき、すばやいリサイクルから松尾がオープンサイドにキック、これをFL古川聖人が確保してWTB岩佐賢人につなぎ、同点トライが生まれた。
12-12で迎えた後半も尾道はディフェンスで相手にプレッシャーをかけ続けていたが、17分、東福岡はCTB永富の正確なロングパスを受けたWTB岩佐が左タッチライン沿いを走り抜け、中央に回り込んで勝ち越しトライを決めた。流れを取り戻したモスグリーン軍団は、22分にFB萩原蓮がゴールラインを割り、24分にはWTB高野蓮が自陣22メートルライン内から振り切って独走トライ。最後は主将のFL古川もファイブポイントを加え、東福岡が40-12で、3大会ぶりの決勝進出となった。
花園で3大会連続となった東福岡へのチャレンジは、またしても勝利には届かなかった尾道だが、新たな歴史を作り、胸を張って広島へ帰る。
決勝は1月7日。東福岡が勝てば3大会ぶり5回目の優勝。御所実が勝てば初の日本一となる。