セカンドステージ未勝利のNTTコムに苦戦(撮影:松本かおり)
ディフェンスに時間を割いて準備を重ねてこの日を迎えた。NTTコムが80分体を張り続け、アタッキングで道を切り拓く強者を苦しめた。
1月3日におこなわれたトップリーグ セカンドステージ第6節。秩父宮ラグビー場での第2試合(グループA)でサントリーがNTTコムに勝ったが、18-17と接戦だった。
トップ4入りへ、4トライ以上を取って勝ちたかったサントリー。しかし、インゴールへボールを運べたのは3度だけだった。
前半3分。SOトゥシ・ピシの仕掛けから左サイドを攻め上がり、CTB小野晃征がトライを奪って好スタートを切った。しかし、13分にインターセプトからNTTコムのWTB友井川拓にトライを許すと、(20分にPGて加点はしたが)次にサントリーが5点を刻んだのは前半31分。ゴール前で得たPK機にビシが速攻を仕掛け、走り切った。しかしフェーズを重ねて攻め切る、得意のスタイルを示すことはできないままだった。
前半40分にラインアウト後のモールからトライ(NO8栗原大介)を奪ったNTTコムは14-13とリードして後半に入った。挑戦者は19分にSOエルトン・ヤンチースのPGで追加点を奪い17-13とリードを拡大。必死に勝利へ向かった。
ただ、それでもサントリーは負けなかった。コントロールしていたスクラムでゲームの要所を押さえたのが大きかった。
後半26分、敵陣深く攻め込んだサントリーは、絶好の位置でスクラムを得る。押し切る。NO8竹本隼太郎がインゴールにボールを置いて18-17と逆転。スコアは最後まで動かなかった。
NTTコムの激しさ、粘りが呼んだ接戦。防御の要のひとりであるFL金正奎は言った。
「サントリーのアタックを止めるには、いかにゲインラインを切らせないかがキモ。FWを内側で前に出させると、外にスペースを作られてしまう。だから、そこを徹底しようと準備しました。ファーストタックラーが大事。低く入る。そして2人で入ってもいいから(ダブルタックル)ボールキャリアーを前で止める」
おおよそうまくいった。しつこくやれた。その結果のクロスゲームだった。
勝ち切れなかった理由も、自覚していた。スクラムでの劣勢もあったが、長い時間攻められ、自分たちもチャンスを逃したからだ。ロブ・ペニー ヘッドコーチが「コーリングが足りないところがいくつかの場面であった」と言ったように、攻守に詰めを欠いた。
金も認める。
「ついボール(ばかり)を見てしまい、相手の動きに気づかないときがありました。そういうことを声を掛け合って、もっとうまくやれていれば」
最小得点差で分かれた勝者と敗者。しかし互いの表情は、残った結果そのままではなかった。
NTTコムに笑顔はなかったけれど、経験を進化につなげていけそうな手応えは感じていた。サントリーの大久保直弥監督は「(きょうのような試合をするチームが)トップ4にふさわしいかどうかというと、僕はふさわしくないと思います」と話し、「次戦でトップ4に入れるチームの姿を示したい」と静かに言った。