筑波大(白ジャージー)と東海大の激しいボール争奪戦(撮影:松本かおり)
<全国大学選手権 ファイナルステージ 準決勝>
筑波大(関東対抗戦5位) 17-16 東海大(関東大学リーグ戦2位)
(2015年1月2日/東京・秩父宮ラグビー場)
ゴールポストの正面で接点を重ね、FB野口竜司がドロップゴール。これが3つ。スクラムではしばし相手の塊を破壊し、自慢の守備網は概ね相手の攻撃陣形よりも速く作った。東海大は、ほぼ想定通りにリードして終盤を迎える。16-3。筑波大はほぼ手詰まりで、勝ち試合をどう勝つかが問われる、はずだった。
ノーサイド。筑波大が1点差での逆転勝利。34、36分に肉弾戦、大きな突破と簡潔な形でスコアを奪った。東海大、沈黙。学生王者を競う大会の準決勝が、雪崩の展開で終わった。
「相手は70分で足が止まってきた。それまで自分たちは、何をするかが統一されてなかった」
勝ったFL水上彰太ゲーム主将の分析の要約が、実相を端的に示す。かたや敗れたCTB林大成主将は、突如乱れたもろさを実直に認めた。
「組織が崩れた原因はわかりませんが…。勝負の時間帯。そこ(集中力)の差が、1年間の積み上げのなかでできたのだと思います」
控えで途中出場したのは両軍の計16人中2人。総力戦となるでもなく、かような「奇跡の逆転劇」が出来上がったのだった。10日の決勝戦、待ち構えるのは5連覇中の帝京大だ。
(文:向 風見也)