大阪・近鉄花園ラグビー場を舞台に開催されている第94回全国高校ラグビー大会は、大会2日目の12月28日、1回戦の残り11試合がおこなわれ、2回戦の対戦カードが決まった。
全国大会ベスト4の戦績を持つ強豪同士の対決となった1回戦屈指の好カード、報徳学園(兵庫)×日川(山梨)の試合は、36-14で報徳学園が制した。
先取点を挙げたのは日川。前半12分、NO8長田拓真のパワフルランで敵陣22メートルライン内に入り、ラックからFL大内真が持ち出してゴールラインを越えた。
しかし報徳学園は前半終了前、FL三浦寛司が左サイドを突き破ってゴールに迫り、サポートについていたLO井上遼に確実につないでトライ。コンバージョン成功で同点とした。
7-7で迎えた後半6分、報徳学園はラインアウトからテンポよく攻め、左へ展開してバックス陣がゲイン。サポートもよく敵陣深くに入り、SO田中健登の右へのロングパスでLO井上につないで勝ち越しトライが生まれた。流れを引き寄せた報徳学園は途中出場選手たちも躍動してさらに3トライを追加し、日川を振り切った。
中国大会を制した石見智翠館(島根)は東北チャンピオンの仙台育英(宮城)と激突し、49-17でタフな1回戦を突破した。
先制したあと、仙台育英のモールに押されて2トライを許し、逆転された石見智翠館だったが、前半18分、ゴール前右中間スクラムからの攻撃でキャプテンのSO忽那鐘太が中央を突破し、リードを奪い返した。23分にはスクラムから展開してトライ。石見智翠館は後半もボールキープで優勢に立ち、敵陣で攻める時間が長く、アグレッシブな選手たちがよく走って次々とゴールラインを割り、大差で東北の雄を倒した。
初出場同士の対戦となった近大和歌山×高岡第一(富山)の試合は、15-12で高岡第一が記念すべき初勝利を手にした。
前半は10-0と高岡第一がリード。13分、自陣22メートルライン付近でPR網谷龍太がインターセプトして大きくゲインし、サポートした仲間がテンポよく左へつないでFL清水雄太がゴールに持ち込んだ。19分にはハーフウェイから右への展開で14−13−7とつないで突破し、FL清水が連続トライ。
和歌山県勢として24年ぶりの勝利を目指した近大和歌山は後半、NO8美崎正次などの力強い走りで活気づく。しばらく高岡第一の粘り強いディフェンスに阻まれていたが、11分、ゴール前スクラムからFL岡本慎矢が持ち出して初トライ。勢いに乗り15分、敵陣深くでラインアウトのチャンスを得てゴールに迫り、キャプテンのHO河内映樹がラックから持ち出して左隅に飛び込み逆転した。
10-12と追う立場になった高岡第一は、23分過ぎにマイボールラインアウトを失敗したものの、直後の相手ボールスクラムをターンオーバーして流れを変える。キックとプレッシャー掛けでゴール前右でのスクラムチャンスを得、22メートル内で縦横に揺さぶり、俊敏なWTB渡辺空伍がギャップを突いてすり抜け逆転の決勝トライを決めた。
県予選決勝で引き分けた和歌山工業の選手たちも観戦するなか、近大和歌山は残り1分を過ぎて強烈なタックルから最後のアタックチャンスを手にし、敵陣まで持ち込んだものの、左へ大きく展開しようとしたラストパスがスローフォワードとなり、直後、ノーサイドの笛が鳴った。