<全国大学選手権 セカンドステージ プールD 第3節>
東海大(関東大学リーグ戦2位) 14-10 早稲田大(関東大学対抗戦2位)
最後に勝利を手繰り寄せたのは後半、劣勢だった東海大だった。その理由を敗者が語った。FB藤田慶和は「(早大は)執着心に欠けていた。逆に東海は、ずっと守ってチャンスをつかみ、トライを取った。今日は東海の感性が良かった」と話した。
東海大は7-5と2点リードして、風下に立つ後半へ入った。「いつものラグビーをすれば勝てる」(CTB小倉順平)と余裕を持って臨んだのは早大側。東海大は、なかなか自陣から脱することができなかった。
早大は、17分に約30メートルのPGをSO横山陽介が外す。2分後には小倉がセンターライン付近からのPGを狙ったが、これもゴールポストに阻まれた。
その直後、早大は左ラインアウトからパスをつなぎ、小倉のオフロードパスを受け、WTB荻野岳志がゴールライン右隅に飛び込み逆転する。しかし誤算だったのが小倉のコンバージョン失敗だ。7-10と3点しかリードできなかった。
その後も早大が東海大陣で試合を優位に進めたが、東海大がよく守り、しのいだ。東海大のCTB林大成主将は「逆転されても残り20分あった。風下でもチャンスはある。ディフェンスはできていたので焦りはなかった」と話した。
その言葉通りチャンスが巡ってきたのは後半33分だった。早大陣にようやく入った東海大はラインアウトを得る。ラックから出たボールをLOテトゥヒ・ロバーツがもらって突破し、WTB石井魁へパスが渡る。左中間にトライ。再逆転した。コンバージョンをSO野口大輔が決めて14-10。早大はトライ(で5点以上)を奪わないと勝てない状況となった。
ラストシーン。最後の攻撃をしかける早大。藤田が突破を図るも、東海大CTB井波健太郎らに止められ、その後の反則でノーサイドを迎えた。東海大は早大を大学選手権4度目の対戦で初めて破り、2大会ぶり5度目の4強へ。一方、早大は3大会ぶりに逃した。
逆転トライへつなげた東海大の2人は話した。ロバーツは「止められると思ったが前に出ることができた」。トライをあげた石井は「僕のタックルミスで1本トライを奪われていた。絶対、返したいと思っていた。トライはチームのトライ。次の試合に向けて修正し、1試合1試合を戦っていく。目標は日本一」。
中学3年生の時以来、正月をラグビー無しで過ごす藤田は「(来年は)いいもの新しいものを取り入れていきたい。伝統といってもそれで勝てていないのだから」と敗戦を振り返り、「(できればキャプテンを)やりたいです」と大学ラグビー最後の年を迎える心境を口にした。