日本代表10キャップ(国同士の真剣勝負への出場数)でパナソニック所属のWTB山田章仁が、来季から南半球最高峰のスーパーラグビーでプレーする。オーストラリアのフォースとの契約が発表された18日、心境を語った。
「興味はありますか」
日本代表のエディー・ジョーンズ ヘッドコーチ(HC)からフォースの獲得意思をこう耳にしたのは、11月の欧州遠征のさなかだったようだ。
国内所属先のパナソニックでは、チームメイトのHO堀江翔太主将とSH田中史朗副将がスーパーラグビーに参戦中だ。それぞれオーストラリアのレベルズ、ニュージーランドのハイランダーズで活躍している。WTB山田もHO堀江主将と同じエージェントを通じ、各クラブへプロモーションを重ねていた。
「グルジアのホテルでの朝、でしたかね。その時、具体的な話はなかったのですが、是非、と。びっくりしました。まだまだアピールしないといけないと思っていたので」
しばし「まだ(フォース側からの)発表があるまで何が起こるかはわからない」と慎重で、公式なリリースが出されたいまも「実感はまだわいていないです。まだジャージィを着ていないし」。もっとも、ずっと海外で戦いたかった。オーストラリアへ単身留学した慶大時代から欧州クラブとのプロ契約を目指しており、現在の立場を得る前のジョーンズHCからも「将来、海外でプレーするためのプランを立てなさい」と助言されていた。卒業する2008年春には、自作の宣伝映像を海の向こうへ送付。5月に下部リーグのホンダと契約するまで、浪人生活を送ったこともある。パナソニックの前身である三洋電機に移籍した2010年以降も、「一生、日本で生活するのはもったいない。地球は広いのに」と話していたものだ。
だから29歳での目的達成を間近に控え、こう意気込むのである。
「嬉しいです。自分との約束を果たせた。まず一番は、試合に出ることが目標ですね。そのために日々の練習からしっかりアピールする。新しいチームでやる時、いままで自分がどうしてきたか。皆の特色を把握する。それを邪魔しないで、かつ、存在感を出す。自分のプレーを固定せずに、(チームにとって)欠けている部分を補う…。ホンダ、三洋で経験したことを思い出し、それを密度濃くやりたいです」
現地から国内本拠地の群馬県太田市へ契約書が届いたのは12月。クラブハウス近くの大手ハンバーガーチェーン店で、WTB山田はサインした。