(撮影:出村謙知)
ドバイセブンズ2日目。
初日のプール戦で3敗し、2日目のノックアウトステージで何とかコアチームとしてHSBCセブンズワールドシリーズ(SWS)初勝利を目指した日本だったが、またも世界の壁に跳ね返された。
ボウル準々決勝のアメリカ戦。
前日、いずれも試合の入りに失敗したのが嘘のように、日本は完璧と言っていい立ち上がりを見せた。
立ち上がりからしっかりボールキープして攻め続け、3分に敵陣22メートル内のスクラムから、坂井克行主将が相手DFの穴をついて先制トライ。
前半終了間際にも、羽野一志、鈴木貴士、吉田大樹などが相手DFを翻弄して作った外側のスペースを副島 亀里 ララボウ ラティアナラが駆け抜けて連続トライ。
前半を12−0で折り返す。
「アタックすればトライを取り切ることができるので、焦らずに日本のペースでゆっくりとボールをつないで、つないで。継続してというのが大事」
2009年にドバイで行われた7人制W杯で主将を務めた経験も持つ鈴木が語る理想的と言ってもいいかたちでリードを広げただけに勝利への期待は一気に高まった。
ただ、終了1分前までリードしていた豪州大会のケニア戦もそうだったように、そう易々と新参者が勝利を手にできるほどSWSは甘くない。
「日本が100点満点の試合をして初めてゲームの流れによっては勝てるチャンスが出てくる。こちらが100点満点の試合をしても、相手が100点満点の試合をして、結局勝てないということも十分あり得るレベル」
間違いなく進化の一途をたどるSWSのレベルを瀬川智広ヘッドコーチはそんなふうに説明。
アメリカ戦の前半は間違いなく100点満点と言っていい内容だったが、後半はハンドリングエラーやサポートの遅れ、タックルミスなどが出てリズムを失い、アメリカに2トライを奪われ12−14。
試合終了間際に羽野のラインブレイクから敵陣に入るが、最後もミスでチャンスを失い、1ゴール差で敗れた。
今大会5戦目、続くシールド準決勝の相手はカナダ。
アメリカ戦とは違って、前半はカナダに3トライを重ねられる最悪の立ち上がり。それでも後半は途中出場の首藤甲子郎の積極的なプレーなどもあり、羽野、坂井主将とトライを重ねて追い上げるが、最後も自分たちのミスからカナダにダメ押しトライを奪われて14−29で試合終了。
SWS第1ラウンドの豪州大会に続いて、5戦5敗でドバイでの戦いを終えた。
「どうしてもフェイズを重ねるごとにミスが出る。そこからの失点を重ねている。単純なパスミスだったり、コミュニケーションミスだったり。ラグビーの基本の部分。そこが上がってこないと、世界では戦えない」(瀬川HC)
前回の豪州大会からドバイ大会までのインターバルが約1か月あったのに対して、第3ラウンドの南アフリカ大会はすぐ翌週に控えている。
「ゴールドコースト大会では、ファーストタックラーが体すら当たらなかったのがだいぶ体が当たってきたというのはある」
坂井主将がそう語るように、コアメンバー3人のみの急造チームが、厳しい戦いを経ながら成長していることも確か。
ひとりひとりが意識を高め、課題に向き合ってポートエリザベスでコアチームとしての初勝利を目指す。