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【現地リポ】 勝利は遠く。SWSドバイ大会初日、セブンズ日本代表3戦全敗

2014.12.06

NZ

NZ戦、試合終了間際に相手ゴールに迫った日本だったが、
トライは奪えず。写真は百武優雅。(撮影/出村謙知)

 12月5日、HSBCセブンズワールドシリーズ(SWS)2014-2015第2弾となるドバイ大会が開幕。プール戦でニュージーランド、サモア、スコットランドと対戦した日本は、3戦3敗でプールB最下位となり、大会2日目のボール準々決勝で米国(プールC3位)と対戦することになった。

 プール戦初戦の相手は10月の豪州大会でも対戦し、0-59の大差で敗れた4年連続SWS年間王者であるNZだった。
「前回はNZということを意識しすぎて、よそ行きな、チャレンジの気持ちが全くないような戦いになってしまった。もう一度マインドをリセットすることが重要」(瀬川智広ヘッドコーチ)

 ファーストタックルが決まらず、消極的なプレーに終始したゴールドコーストでの戦いぶりを反省。描いていたのはコアチームへ昇格した立場にふさわしくチャレンジ精神溢れる戦いを挑むゲームプランだった。しかし、結果的には再び世界の壁が強調されるような厳しい一戦となってしまった。

 いきなり試合開始のキックオフから攻め込んだNZがゴール前PKからあっさりジャパンゴールを陥れる。開始32秒での先制だった。その後、日本はほとんどボールをキープできなかった。2分、4分とNZにトライを重ねられて0−17。終了間際にようやく自陣からアタックを試みるが、パスをインターセプトされてNZに4トライ目を奪われる。22点のリードを許して前半を終了した。

 後半に入ると日本がボールキープしながら敵陣に入る時間帯も増えたが、コンタクトが起きた後のブレイクダウンでNZにターンオーバーされ、決定的なチャンスに持ち込めない。逆にラインアウトから1本、PKから1本の2トライをNZに重ねられて、残り1分の時点で点差は36にまで広がった。
 それでも、国内での直前合宿にコアメンバーとしてひとりだけ参加した羽野一志が「後半の最後のプレーはいいラグビーができた」と振り返った通り、試合終了間際になって、百武優雅、鶴ケ崎好昭、後藤駿弥といった途中出場組の若手などが積極的にアタック。NZゴール前まで迫った。しかし、ラストパスが乱れてノートライ…。そのまま0-36で、NZに対して2大会連続となる完封負けで初戦を終えた。
「正直、世界とは差があるが、前回は0-59だったことを考えても、少し粘り強さは出てきている」(瀬川HC)
 後半は2トライしか許さず、最後にはトライを奪う寸前までアタックできたこともあって、「ディフェンスで粘れた部分もあったし、ゴールドコーストからは成長している」(桑水流裕策)ことにはポジティブになっていい世界王者との初戦だった。

 続くサモアも、豪州大会に続いての対戦だった。
「(豪州大会では)本当に何回かしかチャンスを与えていないのに、それを全部トライにつなげられた。そこを4フェイズ我慢するかたちで何とか粘っていく」(瀬川HC)
 アタックに関しては、前回の対戦でいいフェイズを重ねられた手応えがあったため、まずは守りで粘ることがポイントと考えられた。しかし、いきなりミスを続けてしまう。それで、すべてのプランが崩壊してしまった。

 試合開始のキックオフ。それがそのままタッチに出てしまう。ゲーム再開の中央FKからサモアが攻め、先制トライを奪った。さらに4分には日本のノックオンから、5分にはキックオフからそのままサモアがトライを重ねた。あっという間に0-21と差は開いた。
 それでも前半終了間際に吉田大樹、羽野、鶴ケ崎などの好プレーでサモアゴールに迫った後、最後はPKから副島 亀里 ララボウ ラティアナラ→鈴木貴士とつなぎ、今大会初のトライを奪って7-21で前半を終えた。
 追い上げが期待された後半。しかし…いきなり敵陣でのタックルミスから始まってしまった。そのままトライを奪われて点差を広げられ、4分にはキックミスからボールをつながれて6トライ目。それでもNZ戦同様、試合終了間際になって後藤、百武などのゲインから最後は鶴ケ崎が左隅に飛び込み、最終スコアを12-38とした。最後に奪ったトライは、三木亮平、吉田のベテラン勢が相手防御を引きつけてのものだった。

 NZ、サモアという優勝候補との対戦ではポジティブな面も垣間みられた日本だったが、予選プール一番のターゲットと考えていたスコットランド戦では、ただただ「圧倒された」(瀬川HC)内容に終始してしまう。今年5月のロンドン大会では勝った相手だが、前半4、後半3の計7トライを奪われて0-47と完敗。「NZで出せた粘りがスコットランド戦では出せなかった。それは気持ちの問題もある。アタックしても、ブレイクダウンで全然ボールが出なくて、継続できなかった」と桑水流は語った。

 2日目の初戦、ボウル準々決勝で当たるのは、またも前回大会と同じアメリカ。
「ゴールドコーストの時はファーストタックルも決まらず…という感じだったのが、2次くらいまでは粘れるようになっている。あとはアタックの継続の部分。ジャパンは2次、3次までしか継続できない。4次までいけなかった。そこをもう一度修正したい」(坂井克行主将)
 怪我人やチーム事情などでコアメンバーが集められず、少人数での国内合宿を余儀なくされるなど、ゴールドコースト大会以上と言ってもいい厳しい状況で臨んだドバイ大会。大敗の中にも成長している手応えを感じながら、2日目のノックアウトステージで、コアチームとして初のSWS勝利を目指す。

(文/出村謙知)

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