ラグビーリパブリック

青い旋風再び 長崎北陽台がライバル倒し3年ぶり花園へ! 名将「度胸ぞ」

2014.11.24

nagasaki

ビッグスマイル。3年ぶりに花園予選を制した長崎北陽台(撮影:K.Takenaka)

 花園で再び、青い旋風を巻き起こす。1994年度に全国大会準優勝を遂げた長崎北陽台が、3年ぶり14回目の全国高校ラグビー大会出場を決めた。11月23日にかきどまり陸上競技場で、長崎県代表の座をかけ、数々の名勝負を繰り広げてきたライバルの長崎南山と激突し、33−19で勝った。

 過去2年は南山の天下だったが、今年は新人戦、7人制県大会、6月の県高総体も北陽台が制し、前評判は高かった。スピードの南山に対し、北陽台はバックローの朝長駿を中心とした強力フォワードが武器とされ、朝長と同じ高校日本代表候補のFB宮嵜永也キャプテンらが並ぶバックラインも躍動感あるランナーが揃っていた。

 先制したのは南山だった。前半6分、右ゴール前で突進を繰り返したあと、すばやい左への展開からWTB河添貫太郎が抜けてトライを挙げた。
 しかし5分後、北陽台がラインアウトからモールで押し込んで反撃開始。27分にはゴール前スクラムからのアタックでFWが突進し、LO松尾拓磨が飛び込んで逆転した。

 南山は、SO木元慎也やFB鈴木寿朋らの好走があったもののスコアにはつながらず、キック力に自信を持つ鈴木が50メートルPGを果敢に狙う場面もあったが、なかなか追加点を奪えなかった。

 12−7でハーフタイム。

 後半、北陽台の勢いを加速させたのは、豆タンクのようなHO平川隼也だった。身長165センチ、体重80キロと小柄ながらパワフルで突破力があり、4分、ディフェンダーを弾き飛ばしながらインゴールに持ち込んだ。
 8分には、またもや力強いドライビングモールでトライラインを越え、SO柿森亮吾のキックも好調で、北陽台が26−7とリードを広げた。

 それでも、3年連続5回目の花園をあきらめない南山は、13分にWTB河添が2トライ目を挙げ、24分にはCTB伊東岳が捕まりながらも渾身の力をふりしぼってインゴールにねじ込み、コンバージョンも決まって7点差に迫った。

 しかし、南山のミラクルを許さなかった青いジャージーの若人たち。相手に風が傾きかけた直後、敵陣22メートルライン外でラインアウトのチャンスを得、強力FWがモールで大きく前進、HO平川が持ち出してインゴールに飛び込み、勝負あった。

 敗れた市山良充監督は、「モール以外のディフェンスは結構よかったと思います。アタックに関しては、みんなよく走りましたが、脇役がしっかり仕事をしてそのお膳立てをするという部分はもう少しやれたかも。先手でスコアを積み上げて、相手にプレッシャーをかけられていたら展開は変わっていたと思います。でも、選手たちは春から大きく成長しました。自分たちの力を出してくれたと思います」と激闘を振り返った。

 一方、勝った品川英貴監督も選手たちの健闘を称えながら、19点差をつけたあと2連続トライを奪われて一時7点差に迫られた終盤を反省課題にあげた。「高校生なのでまだメンタル面での甘さがある。大きくリードして気が緩んでしまったんだと思います。最後までチャレンジすることを徹底しないと。花園では、ひとつでも高いところに行きたい。フォワードは3年生中心で、バックスには1、2年生が多いですけど、ポテンシャルはみんな高いですし、戦力は充実していると思っています。どれだけ楽しんで力を出し切れるか。もっとこうしとけばよかったな、と思って最後の全国大会を終えることがないように」と、1か月後の大舞台を見据えた。

 北陽台の宮嵜キャプテンは、「自分たちの強みはフォワード。花園ではバックスの力も織り交ぜ一体となって、広いアタックをできるように頑張っていきたいと思います。ここ最近、長崎のチームはベスト8以上にあがれていないので、自分たちがその壁を越えたい」と、全国大会へ向けて力強く決意を語った。
 また、マン・オブ・ザ・マッチ級の活躍をしたHO平川は、「自分がトライを決めて花園出場を決めてやるという気持ちでした。花園は小学校からずっと夢だった。行くだけで満足せず、そこでも活躍したい。体は小さいですけど、気迫、ヒット、スピードで圧倒したいと思います」と、自信みなぎる笑顔で答えた。

 そして、20年前に監督として北陽台を全国大会決勝に導き、現在も同校で指導を続けている名将・浦敏明氏は、こんな言葉で祝福し、選手たちの更なる奮闘を期待している。
 「ここ(長崎県予選)は勝たんとイカンというプレッシャーがありすぎてぎこちない動きがあった。しかし、花園ではそんなことを感じる必要はない、と選手たちに言いました。『オマエたちより強いチームはいくらでもおる』と。それにいかにぶつかって、壁を壊しきれるか。オタオタしよったんじゃまったく話にならん。まず、度胸ぞ」

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