(撮影:松本かおり)
2008年のシーズン以来、やっとあの舞台に立つことができる。11月22日、関東大学リーグ戦2部の専修大学×國學院大学がおこなわれ、専大が34-31で勝利。6勝1敗で全日程を終了し、リーグ戦2部2位で1部7位チームとの入替戦に進出することになった。同ステージへの進出は6年ぶりのことだ。
苦しい戦いだった。27-31と4点のビハインドで迎えた後半のインジャリータイム。相手ゴール前のラックから鋭く走ったのは途中出場のSH田辺雅文だった。インゴールに飛び込む。逆転。ゴールも決めて34-31としたところでフルタイムのホイッスルを聞いた。激戦だった。
先制トライは國學院大だった。前半7分、専大のミスを見逃さない。ノックオンボールをWTBが拾い、いっきにトライを奪った。PGで3点を返された直後の15分には、キックチャージ−からのトライで加点。序盤の主導権を握った。
しかし専大も20分過ぎから反撃に転じた。23分、CTB山崎翔がトライ。ゴールも決まる。29分にはBKが鮮やかにつなぐ。WTB池田大芽がトライラインを越え、15-14とスコアをひっくり返して前半を終えた。
前半終盤をいい形で終えた専大だったけれど、後半もピリッとしなかった。5分に國學院大にPGを決められて逆転を許すと、7分にはモールでトライを奪われる。20分にWTB上田龍之介がトライを奪って4点差に迫るも、後半27分にもトライを許し、20-31までスコアを開かれた。
残り5分強までそのスコアは動かなかった。専大の必死のアタックが続く。後半35分、モールを押し切り27-31へ。そこからフルタイムのホイッスルが吹かれるまで、長い時間が続いた。
逆転へ至る最後の数分を村田亙監督が振り返った。
「焦る時間帯なんだけど、(選手たちは)うまくレフリーとコミュニケーションをとってやっていました。しっかりボールを継続すればいけるだろう、と」
勝者は、気持ちは熱く、頭は冷静に戦って逆転のラストシーンを迎えた。
「この2シーズン本当に走って、ウエートして、ディフェンスしかやってこなかったけど、その培ってきたものがやっと今年(結果に)出てきました。今年からはアタックに着手し、取り切るということをやってきたので、自信はあったと思うし、ボールさえ継続できれば、判断してくれると思っていました。絶対にあきらめない、負けたくない、というハートの選手が増えてきた気がします」
指揮官は、そう話した。
2002年シーズン以来の1部復帰を目指す専大。決戦は12月13日(土/熊谷)、1部7位チームと戦う入替戦だ。「間違いなくチームはひとつになってきた」と手応えをつかんだ村田監督は、「ここからの3週間は本当に大事な3週間。もう24時間フルタイム使う。家族には申し訳ないけど」と覚悟を決めていた。
「今日の経験は大きい。勝って終われたことが本当によかった。またチャンスをもらったのでやるしかありません。(自身が日本代表時の監督である)宿沢(広朗)さんの言葉を借りれば(入替戦は)千載一遇のチャンス。たぶん10回やって、2回くらい勝てるんです。5回に1回。1部に上がるには2割。その2割に持っていくための準備をしたい。ピークに持っていく」
「楽しい3週間になる」と話す表情に、やり切る決意が見えた。