同席した日本人初のスーパーラグビープレーヤー、田中史朗(撮影:松本かおり)
東京、秩父宮をベースに活動(地方都市の開催もあり)。
ホームゲームのうちの3試合をシンガポールで開催。
11月20日に開かれたSANZAR(スーパーラグビーを主催する南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリアの連合組織)執行理事会に参加し、2016年から2020年シーズンを対象とする参加契約書にサインをしてきた日本協会の矢部達三専務理事が帰国。スーパーラグビーへの正式参入に関する記者会見を開いた(21日)。
SANZARからすでに発表されていた冒頭のようなことが明らかとなったほか、「日本代表の強化を目的としているため、参入するスーパーラグビーチームは代表と直結、連結するものに。そのため、両チームのヘッドコーチについても同様の関連性を持つ」ことと、「外部パートナーとの契約でプロフェッショナルな運営をする」ことなども専務理事の口から出た。
現行の15チーム体制から18チームに拡張することが決まったとき、新規参入チームに関しては、レギュラーシーズン15試合のうち8試合をホーム、7試合をアウェーで戦うことがもともとの基本フォーマットとされていた。しかし日本が今回、貴重なホームゲームのうちの3試合をもシンガポール開催とするのは、地理的不利という要素を覆すための交渉材料として欠かせなかったもの。代表強化を最優先とする意思の表れでもある。入場料収入の取り分の割合など詳細は明らかにされなかったが、諸経費の負担をシンガポール側が負担することを考えれば「納得できる範囲」(矢部専務理事)のようだ。
新規参入チームの編成に関してはヘッドコーチの選定も含め、「できるだけ早く」と答えるにとどまった。
また、2015-2016シーズンのトップリーグはワールドカップ終了後、11月中旬過ぎからの開幕が予定されている。2016年3月のスーパーラグビー開幕までに残された期間は短く、例年通りの形式でのトップリーグ開催は困難で、開催方法等の詳細は検討中。トップリーグ各チームとの調整は、この先急がれることになる。
2019年以降の日本ラグビーの姿が大事と考えていることは強調された(スーパーラグビーの今回の契約は2020年まで)。今回の参入で強化のスピードアップは実現するものの、日本ラグビー全体の発展を俯瞰(ふかん)した環境整備を進めることも、並行してスピードをあげることが必要だ。
会見には、すでにハイランダーズ(NZ)で2シーズンプレーしている田中史朗も同席し、「2011年にワールドカップで勝てず(1勝もできず)、責任を感じていましたが、(その後)いろんな人に助けられて、スーパーラグビーでプレーできています。いま、自分の他に3、4人のスーパーラグビープレーヤーがいますが、日本ラグビーにとってはこれからがスタート。1、2年はしんどい戦いとなるでしょうが、世界と戦えるチームをしっかり作っていきたい」と語った。
チーム構成はまだわからないものの、「現段階では(日本参入チームは)下位の方にはなると思いますが、力的には下でも、スピードで対抗していけばひっくり返せる可能性はあるはず」と話した田中は、もし自分が新チームに加わった場合のイメージを「これまで自分が(スーパーラグビーの)コーチやプレーヤーから聞いてきた話や経験を伝えていきたい」。日本側の契約形態、時期もまだ明確になっていないため「まだ何もわからない」としながらも、常に強調する「日本のために」の姿勢をこの日も示した。
日本からの新規参加チームは、南アフリカグループの中の所属カンファレンス内(4チーム)の他チームとホーム&アウェーで6試合をおこなう。南アグループ内の別カンファレンスの4チーム(アルゼンチンを含む)と1試合ずつ。そして、オーストラリア/ニュージーランドグループの10チームの中の5チームと戦う(2シーズンで全チームと対戦)。
2016年シーズンは3月に開幕し、17週でレギュラーシーズンを戦い(6月のウインドウマンスは休止)、その後にプレーオフが開催される。