攻める帝京大のSO松田力也(撮影:松本かおり)
大学選手権5連覇中の帝京大は2日、関東大学対抗戦Aで早大を55−11と圧倒(東京・秩父宮ラグビー場)。昨季の選手権決勝(1月12日/○41−34/東京・国立競技場)と同カードで、2年のSO松田力也が何度も鋭い走りを繰り出した。
12−11とわずか1点リードで迎えた前半30分、帝京大は敵陣中盤左のラインアウトからの連続攻撃で追加点を奪う。FW陣がラックサイドを着実にえぐり、BK陣が広いスペースを攻略。相手につかまったらまたFW陣が縦へ。その繰り返し。
フィニッシュのきっかけはSO松田が作った。敵陣22メートルエリア右中間。おとり役の選手の背後から飛び出してパスをもらうと、直進しながら「声が聞こえた」という左へさばく。ボールはFB重一生に渡る。最後は右タッチライン際のWTB尾崎晟也が対面のタックラーを落ち着いてかわし、インゴールを割った。17−11。
この日の決勝点をお膳立てし、SO松田はチーム内のMVPに輝いた。
「前を見て、空いているスペースをアタックした結果だと思います」
帝京大のFW陣が攻撃陣形を作れば、その背後に立つSO松田は大抵、大きく突破した。前半8分のWTB磯田泰成のトライも、後半27分のFLマルジーン・イラウアのだめ押し点も、その形で演出した。
「SHとコミュニケーションを取って(敵の守備の)裏でもらう、と。相手が(帝京大の)FWを(タックルで)狙ってくると思ったので、そこで惑わすようなアタックができたと思います。そのなかで前を見て、(どこを走るべきか)判断もできた」
新人時代から背番号10を担い、2季目に突入した。「FW、BKとしっかりコミュニケーションを取って、リードしていきたい」。16日の秩父宮では、明大と全勝対決を演じる。
(文:向 風見也)