関東大学対抗戦Aで前年度1位扱いの帝京大は、11月2日、東京・秩父宮ラグビー場で同2位扱いの早大との全勝対決に挑む。前年度から黒子役として存在感を発揮するFL杉永亮太は、いつもの「呼吸」でキーマンとの勝負に挑む。
昨季の大学選手権決勝(○41−34/東京・国立競技場/1月12日)と同じカードを間近に控え、SH流大主将は「クロスゲームで勝ちきるメンタルと身体を準備する」。5季連続学生王者のクラブは、接点での素早いサポートや攻撃陣形、セットプレーの基本仕様を再点検中である。
対する早大では、FL布巻峻介副将が先発する見通しだ。2010年度の東福岡高ではCTBのゲームリーダーとして、全国高校ラグビー大会で優勝に貢献。勝負強さと球際に絡む感性に定評のあるキーマンである。ここまでコンディションを考慮し出場機会を限定していたが、いよいよ今季の対抗戦では初の先発入りを果たす。
「(FL布巻は)アタックではトライを取れるいいところにいて、ディフェンスではタックルした後に仕事をする。そういう彼が出たら流れが変わると思う」
こう語るのは、FL布巻と対面にあたるFL杉永だ。身長184センチ、体重100キロのバイプレーヤーは、相手の主軸との対戦を「特にそれを深く考えてはいない」としつつ、警戒心を言葉にした。さらに、持ち味である堅実さの発揮を誓った。
「自分の意識している、ファーストタックルを外されない部分を出していきたいです」
3年時にレギュラーとなり、2季目を過ごす。岩出雅之監督に「一言でいえば、すべてのプレーの質が上がった」と評されるなか、自身は「リラックスして試合に入れるようになった」という。ラン、サポート、タックル、ジャッカルと、背番号「7」に求められるプレーの実行力にはもともと定評があった。公式戦の緊張感に免疫ができたことで、その才気を余裕を持って発揮できているようだ。
「(試合前の)ルーティーンができた。ウォーミングアップでは息を上げるんですけど、(それ以外の時間は)いい呼吸をして、心を整えて…。これで試合をやるのか、という落ち着いた状態で(試合に)入る」
最終学年を迎え、「試合で、後輩にああなりたいと思われる行動をする」ことも意識する。