(撮影:出村謙知)
ゴールドコーストセブンズ2日目。
何とかコアチームとしてのセブンズワールドシリーズ(SWS)初勝利を挙げたかった日本だったが、ボウル準々決勝でアメリカに、そしてシールド準決勝でケニアに敗れて、5戦5敗で大会を終了した。
「例えるなら、トップリーグに昇格したばかりのチームが全然練習しないで、ずっと厳しいトレーニングを続けている上位チームと対戦するようなもの」(瀬川智広ヘッドコーチ)
予想以上にケガ人が多かったことや、1週間前にアジア大会があったことなどの悪条件も重なり、「ぶっつけ本番」(同HC)と言っていい条件で臨んだ世界へのチャレンジ。
今季のSWS年間4位までにリオデジャネイロ行きキップが与えられることが確定したこともあって、強豪国がこぞって7人制強化のギアを一気に上げた状態である中、日本が結果を出すのはそもそも虫のいい話だったかもしれない。
前日の予選プールでサモア、ニュージーランド、フランスに3連敗した後、坂井克行主将は「修正すべき点ははっきりしている」と語っていたが、2日目初戦のアメリカ戦でも自分たちのミスからリズムを失い、スクラムでプレッシャーを受けた後、内側のスペースを破られるケースが目立った。
「外側に速い選手がいるのを意識しすぎて本来、日本がやらなければいけないまっすぐ前に出るディフェンスができなかった」(瀬川HC)
それでも、終盤にここまでほとんどプレーの機会がなかった三木亮平が投入されると、それまでやや消極的だったチームメイトに喝を入れるように、自陣深くから思い切って勝負。反応した坂井主将や桑水流裕策などが確実にゲインを切っていった後、再び三木にもボールが渡り、最後は縦にブレイクしたレメキ ロマノ ラヴァから外側の芦谷勇帆、児玉健太郎とつないで、何とか一矢を報いるかっこうとなった(最終スコアは5−26)。
あるいは、この36歳のベテランに導かれたようなトライがチーム全体にインスピレーションを与えたものがあったのかもしれない。
結果的に敗れたとはいえ、最終戦となったケニアとの対戦ではこれまでとは違った攻めの姿勢が見られるようになった。
開始1分でいきなりケニアに先制トライを奪われたものの、4分にこれもベテランの首藤甲子郎がサイズの大きなケニアDF陣をスリ抜けるように前に出た後、再び大外の児玉がトライ。
直後のキックオフからレメキが個人技でトライを奪い、そのまま10−7で前半終了。
後半も3分に自陣から羽野一志、レメキ、首藤の好走の後、よくフォローした芦谷がトライ。
そのトライシーン以外にも、何度もケニアゴールに迫ったが、あと一歩のところでの判断ミスなどで取りきれず、逆にケニアにはターンオーバーからのトライを重ねられて、15−17で惜敗。
「このレベルでの経験をしているかしてないかの差が出た。強化に費やしている時間の差も大きい。ほとんど準備期間がない中、選手たちはよくやってくれた」
最終戦終了後に瀬川HCが語ってくれた総括がすべてを物語っているとおり、日本は負けるべくして負けたのは間違いないだろう。
ただ、新たに加わった選手たちが、世界のトップレベルを体験して、短い期間中に大きな成長を見せたのも確か。
「セブンズを初めて1週間も経っていないが、試合を重ねるごとに、ここは行っていいところ、ここは行ってはいけないところというのが、少しずつわかるようになった」(児玉)
「悔しいのひとこと。もう少し早く持ち味が出せるようになっていれば、もっとチームに貢献できた。また戻ってきたい」(首藤)
間違いなくケニア戦では大きな仕事をしてみせた新旧の走り屋に象徴されるように、今回の経験で得たものを将来的にどう個人として、そして7人制日本代表というチームとして積み上げていくのか。
2年後の五輪へ向けての課題は課題のまま残った大会だったことは確かだ。