写真はフランス戦でトライを奪う桑水流裕策(撮影:出村謙知)
10月11日、HSBCセブンズワールドシリーズ(SWS)2014-2015第1弾となる豪州大会(ゴールドコーストセブンズ)が開幕。15チームからなるコアチームの一角として迎える初のSWSとなった男子セブンズ日本代表は、プールAでサモア、ニュージーランド、フランスと対戦し、3戦3敗。プールA4位となり、大会2日目のボウル準々決勝でアメリカ(プールD3位)と対戦することになった。
「厳しい戦いになるのは覚悟している」
豪州入りする前に瀬川智広ヘッドコーチが語っていたとおり、世界のセブンズ最先端の現実を突きつけられるような、コアチームとして迎える初陣となった。
9月30日から10月2日、韓国の仁川で行われた第17回アジア大会で金メダルを獲得したメンバーから8人が入れ替わり、再び「ゼロではなくマイナスから」(同HC)のチームづくりを余儀なくされた。
しかも、チームで合わせるのは豪州入りしてから数日。
新しく加わったメンバーはセブンズ経験が皆無だったり、久しぶりだったり。瀬川HCが「ぶっつけ本番」と、自嘲するしかなかった状態でいきなり強豪国から金星を挙げられるほどSWSが生易しい大会でないことは明らかだった。
初戦の相手はサモア。
日本はいきなり相手キックオフをキープして、最後は坂井克行主将が先制トライ(59秒)。幸先のいいスタートを切ったものの、その後は後半5分までにサモアに6連続トライを許す一方的な展開に。
終了寸前にレメキ ロマノ ラヴァが意地のトライを返したものの、最終スコアは14−40。
奪われたトライのほとんどが、自分たちのミスやブレイクダウンでのターンオーバーでボールを奪われた後、一気にトライまで持っていかれたもの。
「このレベル相手に小さなミスが出ると、そこからカウンターされてしまう。もう一度、ボールを大切にプレーするということを徹底して、そのためにはサポートをしっかりやっていかないといけない」
瀬川HCはサモア戦後、そう修正点を語っていたが、続くNZ戦でもまったく同じパターンでトライの山を築かれ、0−59での惨敗に。
3試合目のフランス戦は、2戦目までと比べると、日本がボールをキープして攻める時間帯も多くなり、前半終了間際に粘りに粘って攻め続けて桑水流裕策が飛び込み、後半早々にも「少しキックを使ってみようというプランだった」という羽野一志のキックを追った長野直樹が難しいバウンドをうまくキャッチして連続トライ。
この時点で14−19と5点差となったことで、多くが仮装するセブンズモードの観客席も大いに盛り上がったが、日本の健闘もここまで。
前半、やはり自分たちのミスやブレイクダウンでのターンオーバーから試合開始早々にフランスに主導権を奪われ、追い上げた後半もあっさりとトライラインを明け渡すなど、勝負どころで粘ることができずに最終スコアは14−33。
「コアメンバーからも厳しいとは聞いていたが、2戦目のニュージーランドをはじめレベルの高さを実感している」と、新たに加わったメンバーの心境を代弁するのは、フランス戦でトライを奪った長野。
一方、コアメンバーで経験抱負な桑水流も「(アジア大会からは)気持ちは切り替えていたつもりだったが、このレベルだと、ブレイクダウンでもひとつも手を抜けない。その中で自分自身ももっと成長していかないといけない。フランス戦ではブレイクダウンでボールが出るようになったし、良くなっている部分もたくさんある」とも。
確かに、前述の長野がフランス戦ではトライ以外にも、サモア戦では勝負できなかった1対1の場面で勝負するなど、3試合の中で経験の少ない選手たちが成長を見せたのも確か。
「相手との間合いなど、少しずつセブンズのプレーがわかってきた」(長野)
「いかにポゼッションが大事かということと、ミスが少ないチームが勝つということを学んだ3試合だった」
坂井主将が総括したとおり、初日に経験した厳しさを生かして、2日目はコアチームとして初の1勝を目指すことになる。