(写真は9月13日の対戦より/撮影:Masanori Udagawa)
世界最強軍団、オールブラックスを止めたのは、世界ランキング2位のスプリングボックスだった。ラグビーチャンピオンシップ(南半球4か国対抗戦)2014の最終節、現地時間10月4日に南アフリカのジョハネスバーグで両チームは激突し、南アフリカ代表が27−25でニュージーランド代表に逆転勝ちした。
昨年6月から負け知らずで、すでに大会3連覇を決めていたオールブラックスの連続不敗記録は「22」でストップ。南アがニュージーランドを倒したのは2011年8月以来である。
PGで先制された南アだったが、前半10分過ぎ、自陣深くからボールを回してキックも使いながら防御網を破り、サポートもよく、SHフランソワ・ホーハートがゴールへ駆け抜けた。26分にはWTBブライアン・ハバナのビッグゲインで22メートルライン内に入り、テンポよくリサイクルし、今年代表デビューしたばかりの20歳のSOハンドレ・ポラードがタックルをかわしてトライ。エリスパーク満員のサポーターを熱狂させた。
押され気味で、序盤の得点はPG2本のみだったニュージーランドは32分、WTBジュリアン・サヴェアが自陣から個人技で左タッチライン沿いを突破し、ブレイクダウン後の素早い球出しから、SOボーデン・バリットの巧みなパスを受けたCTBマラカイ・フェキトアが中央を突き破り、点差を縮める。
しかし南アは前半終了前、ゴール前スクラムからのアタックでまたもSOポラードが鋭い走りを見せ、トライライン上にボールをねじ込み、21−13としてハーフタイムを迎えた。
打倒オールブラックスに燃えるスプリングボックスは後半早々、PGでリードを拡大。
だが、世界ランキング1位のニュージーランドは徐々に底力を発揮する。しばらく南アの堅守に苦しんでいたものの、65分、ラインアウトからのアタックでCTBコンラッド・スミスが抜け出し、WTBベン・スミスにつないでトライを奪った。ゴール成功で4点差。
これまで激しくファイトし、ゲームの主導権を握っていた南ア選手の足が止まる。そして69分、追い上げる黒衣の男たちが敵陣深くで相手のラインアウトボールをスチールし、縦横に揺さぶったあと、数人のFWが左へ細かくつなぎ、HOデイン・コールズが逆転トライを挙げた。24−25。
形勢をひっくり返されたスプリングボックスは75分、途中出場のSOパット・ランビーがドロップゴールを狙ったが失敗。77分過ぎに敵陣22メートルラインに迫るもブレイクダウンでターンオーバーされ、万事休すかと思われた。が、直前に起きていた相手FLリーアム・メッサムの危険なタックルが確認され、南アにPGチャンスが訪れる。そして、ランビーが自陣からのロングショットをねじ込み、逆転。これが決勝点となり、南アが歓喜の瞬間を迎えた。
1年後の大舞台を前に、宿敵オールブラックスを倒したスプリングボックス。来年秋にイングランドで開催されるワールドカップでは、サモア、スコットランド、アメリカ、そして日本と同じプールBに入る。