関東大学リーグ戦1部で昨季は開幕5連勝を果たし2位に入った中大が、今季、早くも2敗目を喫した。5日、東京・キヤノンスポーツパークで同5位の日大との3戦目を15−19で落とした。ノーサイド直後、昨季就任した酒井宏之ヘッドコーチ(HC)が「これを落としちゃったのは、痛いですね」と呟く雨中のグラウンド。松田雄監督は選手を集め、ゲキを飛ばしていた。
4点差を追う後半終了間際。敵陣ゴール前で好機を得ると、得点源のモールを重ねて直進。しかし、ラストワンプレーでは違ったプレーを選択し、落球して試合を終えた。こだわっていたことにこだわらなかったのが、松田監督は歯がゆかった。
「応援に来てくれた人に申し訳ないよ…。やるべきことが意思統一されていなかった。それは俺の責任かな」
守備で我慢し、接戦を制するのがクラブのお家芸だった。その意味では、スコアの動かない日大戦は「中大のペースだった」と酒井HCは言う。
しかし、最後のプレーに象徴される迷いが、白星を逃す要因となったか。
PR檜山翔一主将も「いままでロースコアゲームを勝ってきたのに、勝ちきれなかったのはキツい」と悔やむ。
「モール、途中で止められたりして…。そこでずっとこだわり続ければ良かったんですけど、違ったプレーに切り替えてしまった」
この日はゲームリーダーのCTB木上鴻佑副将が発熱、SH住吉藍好が怪我のため、試合直前に欠場することとなった。酒井HCは「これも試練、と捉えたけど…」と悔やみ、こう続けた。
「モールにこだわって勝てなかったら、しょうがない。こだわるのなら、こだわり切って欲しかった…。(中大としては)これを負けちゃ、まったく意味がないんですよ。50、60点取られて負けるのと同じだから…」
19日、東京・町田市陸上競技場で今季下部から昇格の山梨学大とぶつかる。方針は変えない。自主性、スタイルを貫くためのプレーの質。この2つを全選手が高め、「こだわり切る」の境地を目指すのみだ。酒井HCはこう締めた。
「しっかり1戦、1戦粘れるように。やることは変わらないので。まずは気持ちがどんよりしているので、そこを修正します」