蹴り上げたキックオフボールを筑波大がノックオン。そのボールを手にすると、紫紺のジャージーはタテに左右に攻め続けた。
勢いに乗った攻撃の途中、NO8松橋周平が前へ出てゲイン。筑波大防御を下げると一度右に攻め、その後、大きく左に展開した。最後はSO田村熙がインゴールに駆け込んでトライ。100秒以上攻め続けて取り切ったトライで明大は勢いづいた。
関東大学対抗戦A、開幕節の注目の一戦。9月14日におこなわれた明大×筑波大は、41-21で明大が快勝した。
「先手をとる」(FB山下一ゲームキャプテン)をテーマにした筑波大にとっては痛かった立ち上がり。明大の集中力が上回った。
PR勝木来幸主将が言った。
「昨季の対戦では大敗しました(10-50)。今年の春は勝ちましたが(33-21)、『まだ借りは返していないぞ』と言ってこの試合に臨みました」
結束して、気持ちを高めて前に出続けた序盤。18分までに3トライを重ねて21-0とした。FWが前に出ただけでなく、BKも大きくボールを動かした。丹羽政彦監督は、「あちらのバックスはアタックは凄いけど、ディフェンスはそうでもないと分析していたので外を攻め、的を絞らせないようにしました」と試合後の記者会見で明かした。最高の立ち上がりだった。
明大は前半26分に筑波大SH木村貴大にブレイクダウン脇を走られてトライを許したが、強味を前面に出し続けた。30分前後からは約10分弱、筑波大ゴール前でスクラムを押し続ける。組み直し数回。そして、相手ペナルティのたびにスクラムを選択。6回ぶつかり、そのすべてを押し込んだ。結局トライは奪えなかったが、そう簡単には流れが変わらぬことを示した時間帯だった。
21-7とリードして迎えた後半。5分にPGを決めて24-7とするも、8分に筑波大WTB福岡堅樹に決められた明大は、その2分後にはCTB本村直樹の快走からさらに1トライ返され、いっきに24-21まで迫られた。しかし、このときの円陣で勝木主将は仲間に言った。
「このジャージーを着ている以上、負けられないぞ」
もう一度強気になれた紫紺のジャージーは、最後の20分に、パワーと前に出る気持ちで2トライを追加してみせた。丹羽監督は、「最後は(分析通りに)自分たちが走り勝てると思っていた」と語り、筑波大・古川拓生監督は「最後の2トライは明治の力」と勝者を称えた。
この時期の試合だけに、勝者、敗者とも今後改善するべき点が多いことを認識する試合だった。
勝った丹羽監督の口からも、反省点が次々に出た。ハイパントの位置。チェイサーの動き。主力を欠く相手(SO/CTB松下真七郎主将、NO8山本浩輝、SO山沢拓也らが怪我で欠場)に3トライを許したディフェンスにも不満があった。
完敗の筑波大だが、たくさん露呈した課題のうちのいくつかを修正すれば、失点も得点も大きく変わる可能性も感じられた。後半のようなラインアウトを最初からできていたら、前半もっとボールを手にできていた。圧倒されたスクラムについても古川監督は、「自チームの中での相性、組み合わせは練習でわかっていたけど、相手との相性などについて、今日の試合でわかったことがあった」と話した。
シーズン初戦のパフォーマンスは、準備が順調だったかを伝えてはくれるが、シーズンの結末までは映し出さない。