しっかりサポート。キヤノンの今季初勝利に貢献したFLアダム・トムソン(撮影:松本かおり)
<トップリーグ 2014-2015 1stステージ 第2節 プールB>
キヤノン 33−21 リコー
(2014年8月30日/東京・秩父宮ラグビー場)
芝の外は混沌としていた。同業種対決を見守る公式発表約1万人の観客は社員証必須の様相。隣の明治神宮球場からは「乃木坂46」のライブが響く。
前年度7位のキヤノンは元ニュージーランド代表のFLアダム・トムソンが集中力を示す。9点差を追う22分、味方が敵陣中盤左のラインアウトを奪われると次の接点へ飛び込み、反則を誘う。1分後、今度は22メートル線付近左のラインアウトからのモールでトライを奪う。失敗を隠し、逆に点を取ったのだ。続く27分には敵陣ゴール前での連続攻撃から出た球を間合いを取って受け、ぶちかまし、19-16と勝ち越す。球を持たない時の反応をテーマとしたチームは、前半を26-16とリードした。
逆転を期す昨季11位のリコーは、後半8分から登場のSH中村正寿ら交代出場組がギアを入れた。ただ、攻め込んでからのミスが響き、WTB小松大祐主将は「リアクションスピードで相手が勝っていた」。
両軍主将が「たくさんの応援の前でプレーできた」と感謝を口にするなか、勝った永友洋司監督は言った。「僕らにとって何か大切な試合があるのではなく、毎試合、大切なんです」。芝の上ではラグビーがおこなわれていた。
(文:向 風見也)