立ち上がり、軽快だったのは黄色のジャージーだった。
開幕戦の勝利で手応えをつかんだNTTコムはキックオフのボールを受けると、NO8アマナキ・レレィマフィが大きくゲイン。その後もよく攻め続け、4分過ぎにはPGのチャンスも得た。
しかしSOエルトン・ヤンチースのほぼ50メートルPGは失敗。先制機を逃した。
東芝は落ち着いて反撃機を待った。
ペースをつかんだのは、スクラムがきっかけだ。11分過ぎ、相手のアーリープッシュで得たFKでスクラムを選択して押し込むと、NTTコムのオフサイドを誘ってPGで先制。その数分後にPGで追いつかれるも、18分過ぎにはまたもスクラムで反則を得てPGで加点。そして30分前後からの数分間は東芝のスクラムショーとなった。
NTTコムにとっては、キックの処理ミスから始まった試練の時間帯。東芝はゴール前5メートル地点で得たスクラムで3度押し込み(本当は、あとは押さえるだけでトライだった2度目のペナルティ時にトライでよかったはず)、黄色いパックをズタズタにする。ペナルティトライで(ゴールも決まり)7点を追加した。
前半を終えて13-3、後半20分過ぎまで16-6とスコアは離れず、NTTコムもBKでよく前に出たが、東芝にはセットプレーで上回っている安心感があった。要所ではスクラムで圧力をかけ、試合を落ち着かせる。後半22分過ぎにはNTTコムがラインアウトでミスしたボールを活かして攻め、ブレイクダウンを連続支配。最後はSO廣瀬俊朗が走り、インゴール中央に駆け込んだ(ゴールも決まり23-6)。
後半26分過ぎにはまたもBKのラインブレイクから攻め込んで、SH西橋勇人がトライ。36分過ぎには途中からSOに入っていたブラッキン・カラウリアヘンリーがインゴールにダイブするなど、最後の最後まで攻め続けたNTTコムは7点差(16-23)まで詰めた。勝利を得た冨岡鉄平ヘッドコーチが「BKでのラインブレイクはあちらの方が多かった」と認めるように攻め合いでは上回ったのは敗者だったが、スクラムとプレースキックで上回った東芝が、一度つかんだ流れを完全には譲らぬまま終わった試合だった。
試合後の会見、両チームの表情は対照的だった。敗れたNTTコムのCTB溝口裕哉主将が「チャレンジでなく、勝ちにいった試合だったので悔しい。でも、東芝相手にあれだけ戦えたのは自信になった」と話す一方で、ゲームキャプテンを務めた東芝のWTB大島脩平は「先週パナソニックにいい試合をして勝った後で、今週はこういう試合になるかもしれない…と警戒しながらも、予想していたような(内容の)ゲームをしてしまった。勝って反省できることだけがよかった」。
両主将ともBKだっただけに、勝敗とは逆の表情がそこにあった。