(撮影:田代厚)
熱かった熊本の夜。8月23日に同地でおこなわれたコカ・コーラ×サントリーの『飲料ダービー』はコカ・コーラが79分間リードするも、最後の最後にサントリーが逆転し、17-13で勝利を手にする激戦となった。
試合後の監督、主将の言葉から、両チームの現在地と、この先向かう道が見えた。
前半の得点は、コカ・コーラSO福田哲也のPGのみ。3-0で始まった後半、1分にFLソロモン・キングがトライを挙げ(ゴールも決まり)、コーラのリードは10-0となった。
その後、サントリーは9分にFL佐々木隆道がトライを挙げ、コーラは13分に福田がPGを決めて13-5。WTB中?隆彰のトライで、サントリーが3点差に追い上げたのが25分だ(13-10とコーラがリード)。そして、勝負が決したのは試合終了を告げるホーンが鳴った後半41分だった。SHに入っていた成田秀悦がインゴールに入り逆転(ゴールも成功/17-13)。死闘は終わった。
レッドスパークスの山口智史監督は、健闘しながらも勝ちきれなかった現実に目を向け、「こちらのアタックがなかなかできなかった。選択した戦術の精度が甘かった。今年は自分が監督就任して始めて防御強化に取り組んだのですが、いいディフェンスができた。ただ、負けたので次は結果に結びつけたい」と語った。
敗戦のなかで得た収穫を問われると、昨季と今季の違いについて口にした。
「(トップリーグに復帰したばかりだった)昨季は、九州リーグ(トップキュウシュウ)とは違う、接点をはじめとした激しさ、テクニックの違いに面食らい、セカンドステージからようやく対応できた感じでした。でも今年は、トップリーグのスタンダードを知った上で準備できた。その成果は見えたと思う」
NO8豊田将万主将は、選手たちの内面の変化に手応えを感じていた。
「会社の体制が変わって、多くの応援にきてもらえて感謝です。チームの名前が変わって(コカ・コーラウエスト→コカ・コーラ)、『新しい歴史を作ろう』という意気込みで挑みました。明確なターゲットを持って、この日のためにあらゆることを犠牲にしてやってきた。しかし最後は、サントリーが一枚上手でした。選手たちは最後まで前を向いて、新しいことを積み上げる戦いをやってくれた。まだ始まったばかりなので、次にフォーカスしてやって行きたい」
キャプテンは前を向いていた。
3点リードで最後まで進んだ試合。試合終盤、反則でPG機を得たサンゴリアスが同点を狙わず、トライを狙い、逆転したことについてふたりは、こう話した。
「ハーフタイムに『相手は後半の最初から攻めて来るぞ』という話を選手にしたが、それに対抗できる気持ちがあったので、できるだけ敵陣に入って点を取って行こう、と。そうしていけば相手は疲れて来るだろうと思っていたんです。でもなかなか敵陣に入れず、相手が息を吹き返して逆転された。そこは相手の素晴らしさ。フィジカルにボールを動かし続けるという、サントリーが積み上げてきたものが出たと思います」
そう話した山口監督に続いて、豊田主将も相手を称えた。
「(サントリーは)僕ら(相手)だから攻めてきたんだと思います。僕がサントリーの立場だったら、狙わない。パナソニックや東芝との試合だったら、判断は違ったでしょう。(そう感じたので)負けられないと思ったけど、最後は意地が足りなかった。サントリーの選手は(誰もが)同じところにフォーカスできていた」
一方、試合後の会見場に現れた勝者は渋い表情だった。
それでも大久保直弥監督は、勝利をつかんだ選手たちを労った。
「開幕ということで気合いを入れて臨んだが、相手がそれを上回る気迫だった。自分たちが意図していたゲームではなかったが、選手は最後まであきらめずによく戦い、勝ってくれたと思います。まだ開幕したばかりなので、これを活かしていきたい。 昨年の開幕とは11人違うメンバーです。若い選手にとって、このプレッシャーは今後につながる経験になると思う。この勝利を次につなげたい」
LO真壁伸弥主将は反省を口にした。
「いい準備をしてきたが、開始から硬くなって、いいプレーができなかった。相手のプレッシャーにやられてしまった印象です。勝って反省できることになったので、次の試合に向けて、何が良くて何が悪かったかを見極めて次に挑みたいと思います」
試合終盤の決断について、「PGで同点は考えなかったか」と問われた際には、「ラインアウト、スクラムで優位に立っていたので攻めようと思った」と答えた。