(Photo: Dan Sheridan @INPHO)
フランスを舞台に開催されてきた女子ラグビーワールドカップ2014は、大会最終日の8月17日にパリのスタッド・ジャン・ブアンで決勝がおこなわれ、イングランドがカナダを21-9で下し、20年ぶり2回目の優勝を遂げた。初の決勝進出を果たしたカナダは、銀メダルに輝いた。
過去3大会連続決勝で涙をのんできたイングランド。先発15人のうち10人が4年前の悔しさを胸に、今回の頂上決戦に臨んでいた。4連覇中だった宿敵ニュージーランドは4強入りを逃し、決勝で対峙したのは、プールステージで引き分けたカナダだった。
両チームとも勇敢で、しぶとく、序盤から激しい攻防。前半11分にイングランドがペナルティゴール(PG)を決め、ようやくスコアが動いた。
さらにショットで3点を追加した前回大会の準優勝チームは、33分、自陣からスピードあるバックスがつないで大きくゲインし、テンポよく右へ展開して、FBダニエル・ウォーターマンがインゴールに飛び込んだ。
その後、カナダがPGを3本重ねて2点差に迫ったが、イングランドはベテランFLマギー・アルフォンジなどが鋭い出足でプレッシャーをかけ続け、逆転を許さない。
再び5点差となり、終盤の74分、イングランドのCTBエミリー・スカーラットが22メートルライン外からパワフルに防御網を突き破り、決定的なトライを挙げる。そして、女子イングランド代表は残り時間を守り切り、歓喜の瞬間を迎えた。
来年、イングランドは男子のラグビーワールドカップを自国で開催することになっており、女子の栄冠獲得によりムードはさらに高まるに違いない。もちろん、セブンズにも好影響をもたらすはずだ。
一方、女子ラグビー界に新しい歴史を作ることはできなかったカナダだが、俊足のトライゲッターであり、ゴールキッカーとしても活躍したWTBマーガリ・ハーヴィーが今年のIRB女子最優秀選手賞に選ばれた。
なお、3位決定戦は開催国フランスがアイルランドに25-18で勝利。女子ラグビーワールドカップでニュージーランドに23年ぶりの黒星をつけたアイルランドは4位に終わった。5連覇を逃したニュージーランドは5位でフィニッシュ。アジア代表のカザフスタンは1勝も挙げることができず、最下位(12位)となった。
次回大会は3年後。セブンズのワールドカップが夏季オリンピックの中間年(次は2018年)に開催されることが決まったことにより、女子選手たちが7人制大会にも出場するのを可能にするため、15人制の第8回女子ラグビーワールドカップは2017年におこなわれる。
<女子ラグビーワールドカップ2014 最終順位決定戦>
▼決勝
・イングランド 21 – 9 カナダ
▼3・4位決定戦
・フランス 25 – 18 アイルランド
▼5・6位決定戦
・ニュージーランド 55 – 5 アメリカ
▼7・8位決定戦
・オーストラリア 30 – 3 ウェールズ
▼9・10位決定戦
・スペイン 36 – 0 南アフリカ
▼11・12位決定戦
・サモア 31 – 0 カザフスタン
(Photo: Dan Sheridan/INPHO)