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ワラターズ悲願達成! クルセイダーズとの死闘制し、スーパーラグビー初優勝

2014.08.02

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シドニーに最高の夜。ついにスーパーラグビーの栄冠を手にしたワラターズ
(撮影:Yasu Takahashi)

 オーストラリアのシドニーを本拠地とするワラターズが、19年目のスーパーラグビーで、ついに南半球のチャンピオンになった。2014年大会の決勝が8月2日におこなわれ、クルセイダーズ(ニュージーランド)との激闘を33-32で制し、悲願の初優勝だ。

 過去6回プレーオフに進みながら、そのうち3回は準決勝で散り、2005年と2008年は決勝で涙をのんだ。しかし、欧州タイトルを獲得したことがある名将マイケル・チェイカが指揮を執って2年目の今シーズン、ワラターズは初めてレギュラーシーズンを1位で終えた。そしてノックアウトステージを勝ち進み、これまで苦汁をなめさせられてきた因縁の相手であるクルセイダーズと3度目のファイナル対決。地元のANZスタジアムには、スーパーラグビーの最多観客動員新記録となる61,823人の大観衆が集まり、歴史的名勝負は生まれた。

 ワラターズは序盤から勢いがあった。前半2分にペナルティゴール(PG)で先制したあと、3分過ぎには自陣で相手のラインアウトボールをスチールし、CTBカートリー・ビールのロングパスも効いて敵陣深くに入り、テンポ良い連続攻撃をCTBアダム・アシュリー=クーパーが締めた。ボールを支配し続けたワラターズは10分、14分にもSOバーナード・フォーリーがPGを決め、14-0とリードを広げる。

 ワラターズのプレスディフェンスに苦しんでいたクルセイダーズだが、17分にようやくチャンス到来。攻め込みながらキックで自陣まで後退させられたものの、SOコリン・スレイドが中央を抜け出し大きくゲイン、サポートした主将のNO8キアラン・リードがオフロードでFLマット・トッドにつなぎ、トライを挙げた。

 その後、互いにPGを2本ずつ決め、前半を20-13で折り返す。7点を追うクルセイダーズは、12番をつけていたキープレーヤーのダン・カーターが30分に負傷交代したため、後半は厳しい戦いを強いられることとなった。

 ラスト40分のバトル開始。戦力がダウンしたクルセイダーズだが、実は、ワラターズには過去11連勝中で得意としており、データを証明するかのように、後半早々に追いついた。
 42分、FLリッチー・マコウなどが前進しながらポップパスでつなぎ、左タッチライン沿いを駆け上がったWTBネマニ・ナドロが2人のプレッシャーを受けながらインゴールに飛び込んだ。ビデオチェックでトライが認められ、ゴールキックも決まり、20-20となる。

 そして49分、カーターからキッカー役を引き継いだSOスレイドがゴールポストを狙って3点を追加し、クルセイダーズがこの試合で初めてリードを奪った。
 ワラターズは5分後、PGですぐに同点とするも、まもなくクルセイダーズにショットを決められ、再び追う展開に。しかし62分、フェイズを重ねて敵陣深くに入り、この日絶好調のCTBアシュリー=クーパーが2トライ目を挙げ、今度はワラターズが逆転した。コンバージョン成功で30-26。

 それでも、最多7回の優勝を誇る試合巧者のクルセイダーズは慌てず、67分に3点を返したあと、75分にはWTBナドロのゲインで敵陣22メートルライン内に入って相手の反則を誘い、スレイドがきっちりPGを決め、クルセイダーズが30-32と再びゲームをひっくり返した。

 6年ぶりの栄冠獲得に近づいたクルセイダーズ。しかし、残り時間約2分の場面で、ベテランのFLマコウがラックで反則を犯してしまう。ワラターズのラストチャンス。ゴールポストまでの距離は約45メートルで、ほぼ正面。ショットを狙ったフォーリーがこの大事なPGを成功し、33-32、土壇場でワラターズが逆転した。
 クルセイダーズはミラクルを信じてリスタートを急いだが、ボールを死守したワラターズがフルタイムで外に蹴り出し、直後、激闘の終わりを告げる笛が鳴った。

 南半球最強クラブを決めるスーパーラグビーでオーストラリア勢が優勝したのは、ブランビーズ、レッズに続いてワラターズが3チーム目。
 レギュラーシーズンの後半で主将のFLデイヴ・デニスが負傷離脱したものの、FLマイケル・フーパー、CTBアシュリー=クーパーなどがしっかりチームをまとめ、万能BKビール、FBイズラエル・フォラウといった人気選手や、新鋭のLOウィル・スケルトン、南アフリカ人助っ人のLOジャック・ポトヒエッターなど多くの選手が輝き、スターリングシルバーの優勝カップは、ついにワラターズの手に渡った。

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